January 22, 1998 Vol. 338 No. 4
月経前症候群の女性とそうでない女性における性腺ステロイドの異なった効果
DIFFERENTIAL BEHAVIORAL EFFECTS OF GONADAL STEROIDS IN WOMEN WITH AND IN THOSE WITHOUT PREMENSTRUAL SYNDROME
P.J. SCHMIDT, L.K. NIEMAN, M.A. DANACEAU, L.F. ADAMS, AND D.R. RUBINOW
月経前症候群の女性には卵巣機能障害の証拠が認められないが,これらの女性の症状は,卵巣機能の抑制に反応して改善する.われわれは,この症候群におけるエストロゲンとプロゲステロンの役割を明らかにするために研究を行った.
まず,月経前症候群の女性 20 人において,ゴナドトロピン放出ホルモンのアゴニスト類似体であるリュープロライドによる卵巣機能抑制が症状に及ぼす効果,またはプラセボの効果を調べた.リュープロライド治療のあいだに症状が改善した女性 10 人に対し,エストラジオールとプロゲステロンを二重盲検交叉デザインによってそれぞれ 4 週間,リュープロライド治療を続けながら投与した.月経前症候群でない女性(健常女性)が同様のプロトコールに参加した.患者の毎日の自己報告書および採点者が管理する隔週の症状採点尺度に基づき,転帰を評価した.
リュープロライドを投与した月経前症候群の女性 10 人は,ベースライン値およびプラセボを投与した女性 10 人の値と比較して症状が有意に減少した.リュープロライド+エストラジオールまたはプロゲステロンを投与した月経前症候群の女性 10 人は,症状が有意に再発したが,同じレジメを投与した健常女性 15 人,またはリュープロライドの投与を継続しながらプラセボホルモンを投与した月経前症候群の女性 5 人では,気分の変化は起こらなかった.
月経前症候群の女性では,症状の発現は正常なホルモン変化に対する異常な反応を表している.