The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

June 10, 1999 Vol. 340 No. 23

精巣癌患者における腫瘍随伴性の辺縁系脳炎および脳幹脳炎の血清マーカー
A Serologic Marker of Paraneoplastic Limbic and Brain-Stem Encephalitis in Patients with Testicular Cancer

R. VOLTZ AND OTHERS

背景

癌患者は,腫瘍随伴性障害のため,辺縁系および脳幹の機能障害の症状が現れることがある.精巣癌では,他の多くの癌に比べて,腫瘍随伴性の辺縁系脳炎あるいは脳幹脳炎を併発することが多い.そこで,われわれは,この腫瘍随伴性症候群の診断検査に使用できる可能性のある抗ニューロン抗体を探索した.

方 法

血清中および脳脊髄液(CSF)中の抗体の検出には,免疫組織化学的手法とイムノブロッティング法を使用した.また,標的抗原のクローニングとその発現組織の決定には,相補的 DNA(cDNA)ライブラリーの血清スクリーニングとノーザンブロッティング法を使用した.

結 果

精巣癌と腫瘍随伴性の辺縁系脳炎あるいは脳幹脳炎(または,その両方)を併発していた 13 例の患者では,その 10 例の血清中および脳脊髄液中に,40 kd のニューロンタンパク質に対する抗体が検出された.これらの抗体は,われわれが Ma2と呼んでいる遺伝子をクローニングするのに使用した.この Ma2 遺伝子は,この 10 例の患者の血清と反応するが,344 例の対照被験者の血清とは反応しないタンパク質(Ma2)をコードしている.Ma2 タンパク質は,正常な脳組織と患者の精巣腫瘍で選択的に発現されていた.Ma2 遺伝子は,これら以外の腫瘍随伴性症候群と腫瘍に関連した“脳 - 精巣 - 癌”の遺伝子である Ma1 と相同な塩基配列を共有している.

結 論

亜急性の辺縁系および脳幹の機能障害と精巣癌を併発している患者の血清には,正常な脳と精巣腫瘍に検出されたタンパク質に対する抗体が存在している.これらの抗体の検出は,神経障害が傍腫瘍性起源のものであることの裏付けであるとともに,その診断に重要であろうと考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 1788 - 95. )