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March 11, 1999 Vol. 340 No. 10

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持続性の発熱および好中球減少症の患者に対する経験的療法におけるリポソーム型アムホテリシン B
Liposomal Amphotericin B for Empirical Therapy in Patients with Persistent Fever and Neutropenia

T.J. WALSH AND OTHERS

背景

発熱と好中球減少症が持続している患者には,臨床的には不顕在の深在性真菌感染症の初期治療と予防として,アムホテリシン B が経験的に投与されている.しかしながら,このような治療にもかかわらず真菌感染症が発症することがあるし,アムホテリシン B にはかなりの毒性がある.

方 法

経験的な抗真菌療法としてのリポソーム型のアムホテリシン B と既存のアムホテリシン B を比較する無作為二重盲検法による多施設共同試験を実施した.

結 果

治療の平均期間は,リポソーム型アムホテリシン B(343 例)が 10.8 日間,既存のアムホテリシン B(344 例)が 10.3 日間であった.治療の評価項目を総合した治療の成功率は同程度(リポソーム型アムホテリシン B が 50%,既存のアムホテリシン B が 49%)であり,抗真菌薬の予防投与やコロニー刺激因子(CSF)の投与には関係していなかった.リポソーム型アムホテリシン B と既存のアムホテリシン B の治療の転帰については,生存率(それぞれ 93%および 90%),解熱(58%および 58%),および毒性作用や有効性の欠如による試験薬剤の中止(14%および 19%)に関して同程度の結果であった.起炎菌が同定された真菌感染症の発症は,既存のアムホテリシン B の治療を受けた患者(27 例[ 7.8%])よりも,リポソーム型アムホテリシン B の治療を受けた患者(11 例[ 3.2%])で少なかった(p = 0.009).このリポソーム型の製剤では,点滴による発熱(17% 対 44%),悪寒または寒気(18% 対 54%),および低血圧症,高血圧症,および酸素欠乏症などの他の反応が発現した患者は有意に少なかった.腎毒性作用(血清中のクレアチニン濃度が正常域の上限の 2 倍以上と定義)の発現は,既存のアムホテリシン B の治療を受けた患者(34%)よりも,リポソーム型アムホテリシン B の治療を受けた患者(19%)で有意に少なかった(p < 0.001).

結 論

リポソーム型のアムホテリシン B は,発熱と好中球減少症を発症している患者に対する経験的な抗真菌療法において,既存のアムホテリシン B と同程度の優れた効果があり,しかも真菌感染症の発症,点滴による毒性,および腎毒性がより少ないと考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 764 - 71. )