November 11, 1999 Vol. 341 No. 20
結腸直腸ポリープの検出における大腸内視鏡検査のバーチャル法と従来法の比較
A Comparison of Virtual and Conventional Colonoscopy for the Detection of Colorectal Polyps
H.M. FENLON AND OTHERS
バーチャル法の大腸内視鏡検査は,薄断面のヘリカルコンピュータ断層撮影法(CT)で,高解像度の二次元画像を得るという,結腸を画像化するための新しい方法である.得られたデータは,その後,従来法の大腸内視鏡検査によって得られる画像のシミュレーションとして,結腸の三次元画像がオフラインで再構成される.今回,われわれは,結腸直腸ポリープの検出を目的とした大腸内視鏡検査のバーチャル法と従来法の性能を比較した.
結腸直腸の新生物のリスクが高かった 100 例の患者を対象として,プロスペクティブに試験を行った(男性 60 例,女性 40 例;平均年齢,62 歳).バーチャル法の大腸内視鏡検査は,従来法の大腸内視鏡検査の実施直前に実施した.直腸チューブを挿入し,患者が耐えられる最大レベルまで結腸に空気を吹き入れた.平滑筋の痙攣と蠕動を最小限度に抑えるため,および患者の不快感を軽減するために,CT スキャンの直前に 1 mg のグルカゴンを静注した.
結腸の全域を確実に調べることができた患者は,バーチャル法の大腸内視鏡検査では 87 例,従来法の大腸内視鏡検査では 89 例であった.従来法の大腸内視鏡検査で正常であった患者は 51 例であった.残りの 49 例には,合計で,115 個のポリープと 3 個の癌が発見された.バーチャル法の大腸内視鏡検査では,合計で,3 個の癌と,従来法で発見された直径 10 mm 以上のポリープ 22 個のうちの 20 個(91%),6~9 mm のポリープ 40 個のうちの 33 個(82%),5 mm 以下のポリープ 53 個のうちの 29 個(55%)が同定された.偽陽性の検査結果が得られたのは,ポリープでは 19 件であったが,癌では 0 件であった.腺腫性ポリープ 69 個については,バーチャル法の大腸内視鏡検査で,直径 6 mm 以上のポリープ 51 個のうちの 46 個(90%),5 mm 以下のポリープ 18 個のうちの 12 個(67%)が正しく同定された.患者の不快感については,特別に記録されなかったものの,不快感や疼痛のために,このバーチャル法の大腸内視鏡検査の中止を求めた患者は 1 例もいなかった.
大腸内視鏡検査のバーチャル法および従来法は,直腸結腸の新生物のリスクが高い患者において,直径が 6 mm 以上のポリープを検出するには同程度の有効性である.