The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

December 9, 1999 Vol. 341 No. 24

インド人の内蔵リーシュマニア症の治療のための経口薬 ミルテホシン(Miltefosine)
Miltefosine, an Oral Agent, for the Treatment of Indian Visceral Leishmaniasis

T.K. JHA AND OTHERS

背景

いかなるリーシュマニア感染症に対しても,経口投与できる有効な薬剤は開発されていない.今回,われわれは,インド人の内蔵リーシュマニア症の治療を目的として,経口投与が可能なミルテホシン(Miltefosine)の検討を行った.ミルテホシンは,細胞のシグナル伝達経路および膜合成に作用するホスホコリン・アナログである.

方 法

本試験は,第 Ⅱ 相の多施設共同による非盲検試験であり,30 例から成る四つの患者集団に,1 日,50 mg,100 mg,または 150 mg のミルテホシンを 4 週間または 6週間投与した.本試験の 120 例の患者は,年齢が 12 ~ 50 歳で,食欲不振,発熱,および脾腫が発現しており,脾臓からの吸引液にはリーシュマニア属の原虫が中等度(2+)以上検出されていた.寄生虫学的な治癒は,治療完了後 2 週間目に採取した脾臓吸引液に寄生虫が検出されないことと定義した.臨床効果の評価は治療後 6 ヵ月目に行った.

結 果

120 例のすべての患者が初回の寄生虫学的な治癒に達した.しかしながら,6 例の患者には,臨床学的および寄生虫学的な再発が認められた; 残りの 114 例の患者については,治療後 6 ヵ月目までに再発は認められず,その治癒率は 95%であった(95%信頼区間,89 ~ 98%).ミルテホシンの 100 mg /日(体重 1 kg 当りの 1 日用量としては約 2.5 mg)を 4 週間投与したレジメンでは,30 例の患者のうちの 29 例(97%)が治癒した.胃腸系の副作用が多く認められたが(患者の 62%に発現),その程度は軽度から中等度で,この胃腸系副作用のために治療を中止しなければならない患者は 1 例もいなかった.しかしながら,2 例の患者において,アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼあるいはクレアチニンが上昇したために治療が中止された; どちらの患者も,これらの値は速やかに正常値に回復した.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼについては,これ以外にも 12 例の患者において,治療中に100 ~ 150 U までの上昇がみられた.

結 論

インド人の内蔵リーシュマニア症に対しては,経口投与のミルテホシンが有効な治療の一つであると考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 1795 - 800. )