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July 22, 1999 Vol. 341 No. 4

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心筋梗塞発症後の早期死亡における性差
Sex-Based Differences in Early Mortality after Myocardial Infarction

V. VACCARINO AND OTHERS

背景

心筋梗塞発症後の短期の死亡率は,年齢および他の予後因子を補正したときに,男性よりも女性で高いのかどうかについては相反する情報が報告されている.そこでわれわれは,高年女性ではなく,若年女性で,入院中の死亡率が同年齢層の男性よりも高いという仮説をたてた.

方 法

米国心筋梗塞登録 2(the National Registry of Myocardial Infraction 2)に 1994 年 6 月~1998 年 1 月までに登録された 30~89 歳までの患者 384,878 例(女性 155,565 例,男性 229,313 例)のデータを解析した.他院から搬送されてきたり,他院に搬送された患者は除外した.

結 果

入院中の全死亡率は,女性では 16.7%,男性では 11.5%であった.この死亡率にみられた性差は年齢によって異なっていた.すなわち,50 歳未満の患者では,女性の死亡率は男性の死亡率の 2 倍を超えていた.そして,この死亡率における性差は,年齢が高くなるにつれて減少し,74 歳を超ると有意な差ではなくなった(性別と年齢の交互作用について p<0.001).ロジスティック回帰分析では,年齢が 5 歳若くなるごとに,女性の死亡オッズが男性よりも 11.1%大きくなることが示された(95%信頼区間,10.1~12.1%).病歴,梗塞の臨床重症度,および早期管理の相違では,このリスクの差の約 1/3 しか説明することができなかった.すなわち,これらの因子を補正しても,女性では,年齢が 5 歳若くなるごとに死亡リスクが上昇していった(死亡オッズの上昇,7.0%;95%信頼区間,5.9~8.1%).

結 論

心筋梗塞発症後の入院中の死亡率は,若年女性では同年齢層の男性よりも高くなっているが,高年女性では上昇していない.女性の死亡リスクは,男性と比較して患者の年齢が若くなるほど上昇する.心筋梗塞の若年女性は,特別な研究を必要とするような高リスク群である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 217 - 25. )