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April 13, 2000 Vol. 342 No. 15

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急性心筋梗塞のメディケア受給者における再灌流療法実施との人種および性別の関係
Relation of Race and Sex to the Use of Reperfusion Therapy in Medicare Beneficiaries with Acute Myocardial Infarction

J.G. CANTO AND OTHERS

背景

急性心筋梗塞の再灌流療法実施に対する患者の人種および性別を組み合わせた影響についての報告は,ほとんど得られていない.

方 法

米国において心筋梗塞の再灌流療法を受けた患者と人種および性別との関係を調べるために,心筋梗塞のメディケア(老齢者医療保障制度)患者 234,769 例の医療記録を詳細に調査した.これらの医療記録から,厳密な再灌流療法の適応基準に合致した白人または黒人の 26,575 例の患者を同定した.再灌流療法実施の予測因子を調べるために,単変量解析および多変量解析を用いて,人種と性別に従って以下のように分類した四つの患者の部分集団における再灌流療法の実施率の比についての分析を行った;白人男性,白人女性,黒人男性,および黒人女性.

結 果

再灌流療法の適応基準を満たしていた患者のうち,再灌流療法を受けていた患者の頻度は,白人男性がもっとも高く(59%),次いで白人女性(56%),黒人男性(50%),そして黒人女性(44%)の順であった.人口統計学的および臨床学的な特性に認められた差で補正すると,白人女性は,再灌流療法を受ける確率は白人男性と同程度であった(実施率比,1.00;95%信頼区間,0.98~1.03).同様に,黒人女性は,再灌流療法を受ける確率が黒人男性と同程度であった(実施率比,1.00;95%信頼区間,0.89~1.13).しかし,黒人女性は白人男性と比較して再灌流療法を受ける確率が有意に低く(実施率比,0.90;95%信頼区間,0.82~0.98),黒人男性も同様であった(実施率比,0.85;95%信頼区間,0.78~0.93).

結 論

再灌流療法の実施における性別による差異については,臨床学的および人口統計学的な特性と顕在化していた臨床所見の差で補正すると,最小限のわずかな差である.しかしながら,黒人では,性別には関係なく,この救命が期待できる治療を受けられる確率が白人よりも有意に低い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1094 - 100. )