April 27, 2000 Vol. 342 No. 17
Listeria monocytogenes に汚染されたトウモロコシに関連した熱性胃腸炎の流行
An Outbreak of Febrile Gastroenteritis Associated with Corn Contaminated by Listeria monocytogenes
P. AURELI AND OTHERS
1997 年 5 月 21 日に,北部イタリアの二つの小学校の生徒および職員から,多数の熱性胃腸炎の症例が報告された.これらの患者の全員が,同じ仕出し業者から料理を仕入れているカフェテリアで食事をしていた.
これらのカフェテリアで食事をした人々に面接を行い,症状と,5 月 20 日に食べた料理について調査した.それらのカフェテリアには料理のサンプルは残っていなかったが,5 月 20 日の定例検査用の料理サンプルと,その仕出し施設の調理環境から採取した検体について検査した.また,入院患者に対しては,一般的な腸病原体と毒素の検査を行った.
面接調査を行った 2,189 人(この被害を受けた人の 82%)のうち,1,566 人(72%)が何らかの症状を訴えた; このうちの 292 人(19%)が入院していた.入院患者から採取した検体の検査では,一般的な腸病原体については,便の 2 検体を除いたすべての検体と血液のすべての検体で陰性であった.しかしながら,Listeria monocytogenes(リステリア・モノサイトゲネス)が,血液の 1 検体と便の 141 検体のうちの 123 検体から分離された.症状の発現には,トウモロコシとマグロの冷いサラダを食べたことと関連していた(相対危険度,6.19; 95%信頼区間,4.81 ~ 7.98; p < 0.001).さらに,仕出し業者が保管していたサラダのサンプルと,仕出し施設の調理環境から採取した検体から,L. monocytogenes が分離された.分離されたリステリア菌株は,すべての菌株で,血清型が 4b であること,DNA 分析で塩基配列が一致していることが確認された.料理に用いられていた食材の滅菌サンプルを用いた汚染実験では,これらの食材を 25 ℃で 10 時間以上保存したとき,トウモロコシに L. monocytogenes が生育していたことが示された.
免疫能が正常な人々においても,L. monocytogenes による食事性感染が,熱性胃腸炎を引き起すことがある.