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January 20, 2000 Vol. 342 No. 3

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高リスク患者における心血管系イベントに対するアンジオテンシン変換酵素阻害薬ラミプリルの効果
Effects of an Angiotensin-Converting–Enzyme Inhibitor, Ramipril, on Cardiovascular Events in High-Risk Patients

THE HEART OUTCOMES PREVENTION EVALUATION STUDY INVESTIGATORS

背景

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は,心不全の有無にかかわらず,左室機能障害の患者の転帰を改善させる.心血管系イベントのリスクは高いものの左室機能障害や心不全を有していなかった患者を対象として,アンジオテンシン変換酵素阻害薬であるラミプリル(ramipril)の役割を評価した.

方 法

血管系の疾患または糖尿病の根拠となる所見と,これら以外の心血管系の危険因子をもう一つ併せもった高リスク患者(55 歳以上)で,駆出率の低下や心不全の有無については確認されていなかった患者,合計で 9,297 例を,平均で 5 年間にわたり,ラミプリル(10 mg の 1 日 1 回経口投与)またはこれとマッチしたプラセボの投与に無作為に割り付けた.主要転帰は,心筋梗塞,脳卒中,あるいは心血管系の死因による死亡を複合したものであった.
 本試験は,ラミプリルとビタミン E の両方を評価する 2×2 の要因試験であった.ビタミン E の効果については,本号掲載のもう一方の論文で報告されている.

結 果

ラミプリルの投与に割り付けられた患者では,651 例(14.0%)が主要エンドポイントに達した.これに対して,プラセボの投与に割り付けられた患者では,主要エンドポイントに達したのは 826 例(17.8%)であった(相対リスク,0.78;95%信頼区間,0.70~0.86;p<0.001).ラミプリルの投与によって,心血管系の原因による死亡率(6.1%,これに対してプラセボ群では 8.1%;相対リスク,0.74;p<0.001),心筋梗塞の発生率(9.9% 対 12.3%;相対リスク,0.80;p<0.001),脳卒中の発生率(3.4% 対 4.9%;相対リスク,0.68;p<0.001),あらゆる死因による死亡率(10.4% 対 12.2%;相対リスク,0.84;p=0.005),血行再建術の施行率(16.0% 対 18.3%;相対リスク,0.85;p=0.002),心停止の発生率(0.8% 対 1.3%;相対リスク,0.62;p=0.02),心不全の発生率(9.0% 対 11.5%;相対リスク,0.77;p<0.001),糖尿病関連合併症の発生率(6.4% 対 7.6%;相対リスク,0.84;p=0.03)が低下した.

結 論

ラミプリルは,駆出率の低下や心不全の有無が確認されていないような広範囲の高リスク患者において,死亡,心筋梗塞および脳梗塞の発生率を有意に低下させる.

訂正のお知らせ
本論文は 2000 年 3 月 9 日に Correction が発表されました.
詳細および最新情報は以下のリンク先にある Related Articles にてご確認ください.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 145 - 53. )