The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 24, 2000 Vol. 342 No. 8

ノルエピネフリン輸送物質欠損に関連した起立不耐症および頻拍
Orthostatic Intolerance and Tachycardia Associated with Norepinephrine - Transporter Deficiency

J.R. SHANNON AND OTHERS

背景

 起立不耐症は,頭のくらくら感,倦怠感,精神機能の変調,および失神が特徴の症候群で,体位性の頻拍およびノルエピネフリンの血漿中濃度が交感神経系からの流出とアンバランスに異常に高値を示すこととの関連が認められている.そこで,われわれは,ノルエピネフリン輸送物質の機能異常が起立不耐症の病態生理学的メカニズムに寄与しているという仮説の検証を行った.

方 法

 起立不耐症の 1 人の女性患者とその血縁者の体位性の血圧,心拍数,血漿カテコールアミン,およびノルエピネフリンの全身への溢流量とそのクリアランスを測定するとともに,ノルエピネフリン輸送物質の遺伝子の塩基配列を決定し,その機能についての評価を行った.

結 果

 この患者は,立位のノルエピネフリンの平均血漿中濃度が,正常被験者の平均(± SD)濃度と比較して高く(923 対 439 ± 129 pg / mL[ 5.46 対 2.59 ± 0.76nmol / L ]),ノルエピネフリンの全身クリアランスが低下していた(1.56 対 2.42 ± 0.71 L / 分).また,チラミン投与後に上昇するノルエピネフリンの血漿中濃度の上昇抑制(12 対 56 ± 63 pg / mL[ 0.07 対 0.33 ± 0.37 pmol / L ]),および血漿中のジハイドロキシフェニルグリコールに対するノルエピネフリンの濃度の異常な増加が認められた.ノルエピネフリン輸送物質の遺伝子分析では,この発端者がエクソン 9 の 1 個の突然変異(237 番塩基がグアニンからシトシンへ置換)のヘテロ接合であることが明らかになった.また,このヘテロ接合の突然変異の結果,この遺伝子の野生型と比較して,その機能の 98%以上が損なわれることになっていた.シナプスから消失するノルエピネフリンのクリアランスの低下によって,生理的刺激反応における交感神経の過剰な活性化によって特徴づけられるような症候群に至っているのかもしれない.発端者の家族に検出された突然変異体の対立遺伝子は,体位性の心拍数と血漿カテコールアミンの異常なホメオスターシスによって区別することができた.

結 論

 ノルエピネフリンの不活化の遺伝的あるいは後天的な欠損が,起立不耐症に至らせる高アドレナリン状態の基礎にあるのかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 541 - 0. )