The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

January 13, 2000 Vol. 342 No. 2

高校で発生した毒物曝露に起因すると考えられた集団的心因性身体不調
Mass Psychogenic Illness Attributed to Toxic Exposure at a High School

T.F. JONES AND OTHERS

背景

 集団的心因性疾患は,バイオテロリズムや,急速に広がる感染,あるいは有毒物質などが原因となって引き起される疾患と区別するのがむずかしいことがある.今回,われわれは,テネシー州のある高校で発生した有毒ガスへの曝露に起因すると考えられた症状について調査した.

方 法

 1998 年 11 月に,教員の 1 人が教室で“ガソリン様”の臭いがするのに気がつき,その直後に,頭痛,悪心,息切れ,および目眩が発現した.全員が学校から避難したが,80 人の生徒と 19 人の職員が地域病院の救急診療室に運ばれた; このうちの 38 例は一晩入院した.その 5 日後に学校は再開したものの,再開後に,さらに 71 例の生徒と職員が救急診療室に運ばれた.いくつかの政府機関によって大規模な調査が行われた.

結 果

 報告された疾患についての医学的あるいは環境上の説明をみつけることはできなかった.初日に症状を訴えた者は,学校の全域に分散する 36 教室に及んでいた.もっとも訴えの多かった症状(初日に症状を訴えた者の群でも 5 日後に訴えた者の群でも)は,頭痛,目眩,悪心,および眠気であった.血液および尿の検体からは,一酸化炭素,揮発性有機化合物,殺虫剤,ポリ塩化ビフェニル,パラコート,水銀は検出されなかった.また,環境中に存在している有毒化合物も検出されなかった.1 ヵ月後に実施したアンケート調査からは,訴えられた症状が,女性からのものであり,具合が悪くなった人をみたり,同級生が具合が悪くなったことを知ったり,学校で異臭を感じたことを報告したことと有意に関連していることが示された.

結 論

 毒物に曝露されたことに起因すると考えられた今回の疾患は,集団的心因性疾患の特徴が認められた-その特徴とは,とくに,環境上の客観的な原因が得られないにもかかわらず,環境が有毒物質に曝露されたことに起因していると考えた,集団的な自覚症状であった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 96 - 100. )