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April 6, 2000 Vol. 342 No. 14

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フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ芽球性白血病の小児における治療の転帰
Outcome of Treatment in Children with Philadelphia Chromosome–Positive Acute Lymphoblastic Leukemia

M. ARICÒ AND OTHERS

背景

フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ芽球性白血病(Ph+ ALL)の小児は予後が不良で,この異型 ALL の最適な治療についての合意は得られていない.

方 法

試験グループまたは大規模単一医療施設の 10 組織において,1986~96 年に,骨髄移植の併用あるいは非併用による強化化学療法の治療を受けた Ph+ ALL の患者の医療記録を詳しく調査した.年齢が 0.4~19.9 歳(中央値,8.1 歳)までの 326 例の小児および若い成人のデータを解析して,完全寛解率と,無イベント生存,無病生存,および全生存の確率を,標準的な予後因子と治療の種類ごとに求めた.

結 果

 寛解導入化学療法後に完全寛解が得られた 267 例(82%)の患者を,診断時の年齢および白血球数によって次の三つの部分集団に層別した:最高の予後と考えられる患者(白血球数<50,000/mm3 かつ年齢<10 歳;95 例); 中程度の予後と考えられる患者(中程度のリスク特性;92 例);最低の予後と考えられる患者(白血球数>100,000/mm3;80 例).5 年目の時点における無病生存率の推定値(±SE)は 49±5%(最高の予後の患者),30±5%(中程度の予後の患者),および 20±5%(最低の予後の患者)であった(3 群全体の比較で p<0.001).また,HLA 型が一致した血縁者ドナーからの骨髄移植は,強化化学療法の単独治療よりも,再発や他の有害事象からの患者の防護ということに関して有意に優れた効果をもたらすことが確認された(相対危険度,0.3;95%信頼区間,0.2~0.5;p<0.001).この結果は,三つの部分集団のすべてにおいて一致したものであった.

結 論

Ph+ ALL は,一般的な病型の ALL とは異なって,その予後が不良である.それにもかかわらず,好ましい予後特性をもった患者のなかには,強化化学療法によって管理が可能なことがある.さらに,初回完全寛解を持続させるということに関しては,HLA 型適合血縁者ドナーからの骨髄移植が,これ以外の条件での骨髄移植および強化化学療法の単独治療よりも優れた結果が得られる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 998 - 1006. )