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October 26, 2000 Vol. 343 No. 17

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フットボールの試合中におけるノーウォークウイルスの伝播
Transmission of Norwalk Virus during a Football Game

K.M. BECKER, C.L. MOE, K.L. SOUTHWICK, AND J.N. MACCORMACK

背景

フロリダで大学のフットボールの試合の開催中に,ノースカロライナのチームの多数のメンバーに下痢と嘔吐が出現した.その翌日には,対戦チームの何人かの選手にも同様の症状が出現した.

方 法

試合前にノースカロライナのチームに提供された 5 回の食事を摂った人と,症状が出現した対戦チームの選手の数人に面談を行った.一次症例の患者は,試合前日に提供された昼食の弁当を食べた後 10 時間以上経過してから,ただし 50 時間以内に嘔吐または下痢が出現した,ノースカロライナのチームのメンバーまたはスタッフであった.二次症例の患者は,症状がもっと後に出現したか,その弁当を食べることなく症状が出現した.便検体を電子顕微鏡と逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法で検討した.

結 果

この二つのフットボールチームは,飲食を分け合うことはせず,競技場以外で接触することもなかった.試合前にノースカロライナのチームに提供された 5 回の食事のうち,試合前日の昼食の弁当のみに,疾患のリスクとの有意な関連が認められた(相対リスク 4.1,95%信頼区間 1.6~10.0).この弁当を食べた人における発病率は 62%であった.二次症例は,ノースカロライナのチームのメンバーおよびスタッフ 11 例と,フロリダの選手の 11 例であった.ノースカロライナのチームの患者から採取した四つの便検体の電子顕微鏡検査では,すべてにノーウォーク様ウイルスが認められた.RT-PCR 法による分析では,これらの 4 検体すべてと,フロリダのチームの選手から採取した 2 検体のうちの 1 検体が遺伝子群 I(genogroup I)のノーウォーク様ウイルス陽性であり,また,これらの RT-PCR 産物の塩基配列は同一であった.

結 論

この研究は,ノーウォークウイルスのヒトからヒトへの伝播が,フットボールの試合中の選手のあいだで起こったことを証明した.急性胃腸炎を起こしている人をコンタクトスポーツに参加させるべきではない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1223 - 7. )