December 14, 2000 Vol. 343 No. 24
アイスランドにおけるパーキンソン病の家系内集積
Familial Aggregation of Parkinson's Disease in Iceland
S. SVEINBJÖRNSDÓTTIR AND OTHERS
早期発症型の若年性パーキンソン病における遺伝学的役割は確立されているが,もっと頻発している晩期発症型にも遺伝的な要因が関与しているかはいまだ明らかにされていない.
アイスランドにおいて過去 50 年間にパーキンソン病と診断された 772 例の生存患者と死亡患者の医療記録を詳しく検討して,パーキンソン病の診断が正しいことを確認した.610,920 名のアイルランド人に関する過去 11 世紀間の家系情報を含む大量のコンピュータデータを使用して,パーキンソン病患者の患者間の血縁関係が,無作為に抽出した人々(対照被験者)のあいだの血縁関係よりも強いか否かを調べるために,数種類の解析を行った.
パーキンソン病患者の患者間の血縁関係は,晩期発症型パーキンソン病の患者から成る 560 例の部分集団を含めて(発症年齢 >50 歳),マッチした対照群の血縁関係よりも有意に強く,この血縁関係は核家族を越えたものであった.パーキンソン病のリスク比は,晩期発症型パーキンソン病患者の同胞では 6.7(95%信頼区間,4.3~9.6),子孫では 3.2(95%信頼区間,1.2~7.8),甥および姪では 2.7(95%信頼区間,1.6~3.9)であった.
晩期発症型パーキンソン病には,環境要素だけでなく遺伝的要素も関与している.