The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

December 21, 2000 Vol. 343 No. 25

フェニルプロパノールアミンと出血性脳卒中のリスク
Phenylpropanolamine and the Risk of Hemorrhagic Stroke

W.N. KERNAN AND OTHERS

背景

 フェニルプロパノールアミンは,食欲抑制剤および咳や感冒の治療薬に一般的に含まれている.このフェニルプロパノールアミン含有製剤の使用と,とくにこれらの製剤の初回使用後にしばしば起る出血性脳卒中との関連が,症例報告によって示唆されている.われわれは,この関連を検討するために症例対照研究を計画した.

方 法

 年齢が 18 ~ 49 歳までの男女を,米国の 43 病院から募集した.適格基準には,本研究に組み入れられるまでの 30 日以内にクモ膜下出血または脳内出血が発生していること,および脳病変の診断を受けた既往がないことを含めた.ランダムな数字をダイアルするという電話調査によって,これらの患者一人に対して二人のマッチした対照被験者を同定した.

結 果

 本研究には,702 例の患者と 1,376 例の対照者が組み入れられた.女性におけるフェニルプロパノールアミン含有製剤と出血性脳卒中のリスクとの関連の補正オッズ比は,フェニルプロパノールアミンを含有した食欲抑制剤の使用では 16.58(95%信頼区間,1.51 ~ 182.21; p = 0.02),フェニルプロパノールアミン含有製剤の初回使用では 3.13(95%信頼区間,0.86 ~ 11.46; p = 0.08)であった.すべてのフェニルプロパノールアミンの初回使用には,咳や感冒の治療薬の使用も含めた.男性と女性を合わせたときのフェニルプロパノールアミン含有製剤と出血性脳卒中のリスクとの関連の補正オッズ比は,フェニルプロパノールアミン含有製剤の使用では 1.49(95%信頼区間,0.84 ~ 2.64; p = 0.17),フェニルプロパノールアミンを含有した咳や感冒の治療薬の使用では 1.23(95%信頼区間,0.68 ~ 2.24; p = 0.49),フェニルプロパノールアミンを含有した食欲抑制剤の使用では 15.92(95%信頼区間,1.38 ~ 184.13; p = 0.03)であった.男性のみの解析では,フェニルプロパノールアミンを含有した咳や感冒の治療薬の使用に関連した出血性脳卒中のリスクの上昇は示されなかった.また,食欲抑制剤を服用していると報告した男性は 1 例もいなかった.

結 論

 食欲抑制剤中のフェニルプロパノールアミン,またおそらく咳や感冒の治療薬中のフェニルプロパノールアミンが,女性の出血性脳卒中に対する独立した危険因子であることを,本結果は示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1826 - 32. )