December 21, 2000 Vol. 343 No. 25
カフェイン摂取と妊娠初期における自然流産のリスク
Caffeine Intake and the Risk of First-Trimester Spontaneous Abortion
S. CNATTINGIUS AND OTHERS C.A. HALLER AND N.L. BENOWITZ
カフェイン摂取によって自然流産のリスクが上昇することを示唆する疫学研究があるものの,これに関する研究結果は一致していない.
スウェーデンのウプサラ郡において,早期自然流産に関する住民ベースの症例対照研究を実施した.本研究の対象は,妊娠 6~12 週目が経過した時点に自然流産した 562 例の女性(症例患者)と,これらの症例患者と妊娠週をマッチさせた自然流産しなかった 953 例の女性(対照)であった.カフェイン摂取に関する情報は,個別面接にて入手した.血漿中のコチニン濃度を喫煙の指標として測定するとともに,組織検体を用いて胎児の核型を決定した.多変量解析を用いて,カフェイン摂取に関連する早期自然流産の相対リスクを,喫煙や,悪心,嘔吐,疲労感などの妊娠の症状を補正したうえで推定した.
非喫煙者では,自然流産は,1 日当りのカフェイン摂取量が 100 mg 以上の女性のほうが,100 mg 未満の女性よりも多く発生しており,摂取量の増加に伴って自然流産のリスクは上昇した(1 日当たり 100~299 mg:オッズ比,1.3;95%信頼区間,0.9~1.8;1 日当り 300~499 mg:オッズ比,1.4;95%信頼区間,0.9~2.0;1 日当り 500 mg 以上:オッズ比,2.2;95%信頼区間,1.3~3.8).喫煙者では,カフェイン摂取と自然流産の過剰なリスクとの関連は認められなかった.胎児の核型分析の結果によって層別した解析では,胎児の核型が正常または不明の場合は,中等量または多量のカフェイン摂取は自然流産のリスク過剰に関連することが示されたが,胎児の核型が異常の場合には,このような関連は認められなかった.
核型が正常な胎児を妊娠している非喫煙女性においては,カフェイン摂取が早期自然流産のリスクを上昇させる可能性がある.