The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

August 17, 2000 Vol. 343 No. 7

小児の急性水様性下痢の治療におけるラセカドトリル(Racecadotril)
Racecadotril in the Treatment of Acute Watery Diarrhea in Children

E. SALAZAR-LINDO, J. SANTISTEBAN-PONCE, E. CHEA-WOO, AND M. GUTIERREZ P.A. KYRLE AND OTHERS

背景

 ラセカドトリル(Racecadotril)(アセトルファン)は,分泌抑制作用と止痢作用を有するエンケファリナーゼ阻害薬であり,成人および小児の急性下痢に対して有効かつ安全な治療の一つである.急性水様性下痢によって入院している小児に対しては,経口補水療法の単独治療よりも,ラセカドトリルと経口補水療法の併用治療のほうが有効であるかどうかについては不明である.

方 法

 水様性下痢が発症してから 5 日目までの生後 3 ~ 35 ヵ月の男児 135 例に対して,補水液の経口摂取に,ラセカドトリル(体重当り 1.5 mg / kg を 8 時間間隔で経口摂取)またはプラセボを併用した治療を行った.主要エンドポイントは 48 時間目までの排便量(g 単位で測定)とした; さらに,総排便量,下痢の持続期間,および補水液の経口摂取総量についても測定した.

結 果

 平均(± SE)の 48 時間排便量は,ラセカドトリル群が体重当り 92 ± 12 g / kg,プラセボ群が 170 ± 15 g / kg と(p < 0.001)で,ラセカドトリルにより 46%の減少が認められた.ロタウイルスの感染が確認された 73 例の男児の 48 時間排便量も,これと同様の結果であった.総排便量については,ラセカドトリル群が体重当り157 ± 27 g / kg,プラセボ群が 331 ± 39 g / kg であった(p < 0.001).下痢持続期間の中央値は,ラセカドトリル群(ロタウイルスの感染状態にはかかわらず 28 時間)が,プラセボ群(ロタウイルス陽性患児および陰性患児では,それぞれ 72 時間および 52 時間)よりも有意に短かった.補水液の経口摂取量も,ラセカドトリル群がプラセボ群よりも有意に少なかった(p < 0.001).また,ラセカドトリルは忍容性にも優れていた; 有害事象はラセカドトリルを服薬した患児の 7 例に発現しただけで,そのすべての有害事象が軽症かつ一過性のものであった.

結 論

 ラセカドトリルは,急性水様性下痢の幼い男児において有効で,しかも安全な治療法の一つである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 463 - 7. )