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August 31, 2000 Vol. 343 No. 9

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慢性反射性交感神経性ジストロフィー患者における脊髄刺激
Spinal Cord Stimulation in Patients with Chronic Reflex Sympathetic Dystrophy

M.A. KEMLER AND OTHERS

背景

慢性反射性交感神経性ジストロフィー(複合局所性疼痛症候群としても知られている)は,立証された治療法が存在しない灼熱痛を伴った機能障害性の疾患である.しかしながら,いくつかの観察研究では,この疾患による疼痛が脊髄刺激によって減弱することが観察されている.

方 法

反射性交感神経性ジストロフィーの罹患期間が 6 ヵ月以上の患者を対象として,無作為試験を実施した.36 例が脊髄刺激と理学療法(PT)の併用治療に,18 例が理学療法の単独治療に割り付けられた.脊髄刺激装置の植込みは,試験刺激が成功した場合にのみ行った.本試験では,疼痛の程度(0 cm [疼痛なし]~10 cm [非常に高度の疼痛] の視覚アナログ尺度 [VAS] で評価),全身状態の主観的評価(global perceived effect:1 [これまででもっとも不良]~7 [これまででもっとも良好] の尺度で評価),機能状態,健康関連 QOL の評価を行った.

結 果

脊髄の試験刺激は 24 例で成功した;したがって,残りの 12 例には刺激装置の植込みは行わなかった.intention-to-treat(ITT)解析では,脊髄刺激と理学療法の併用治療に割り付けられた患者群は,試験 6 ヵ月目の時点における疼痛の程度が,平均で 2.4 cm 軽減したのに対して,理学療法の単独治療に割り付けられた患者群では 0.2 cm 増悪した(2 群の群間比較で p<0.001).さらに,全身状態の主観的評価のスコアが 6(「大幅に改善した」)であった患者の割合は,脊髄刺激群のほうが対照群よりもかなり大きかった(39% 対 6%,p = 0.01).機能状態については,臨床的に重要な改善は認められなかった.健康関連 QOL が改善したのは,実際に脊髄刺激装置の植込みを受けた 24 例のみであった.これらの 24 例のうち 6 例には合併症が発現し,1 例では刺激装置が抜去されるなど,何らかの追加手技を必要とした.

結 論

慎重に選び出した慢性反射性交感神経性ジストロフィー患者については,脊髄の電気刺激によって,疼痛が軽減できるとともに,健康関連 QOL も改善させることができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 618 - 24. )