August 31, 2000 Vol. 343 No. 9
反射性交感神経性ジストロフィー患者のジストニア治療におけるバクロフェンの髄腔内投与
Intrathecal Baclofen for the Treatment of Dystonia in Patients with Reflex Sympathetic Dystrophy
B.J. VAN HILTEN, W.-J.T. VAN DE BEEK, J.I. HOFF, J.H.C. VOORMOLEN, AND E.M. DELHAAS
反射性交感神経性ジストロフィー(複合局所疼痛症候群としても知られている)患者は,ジストニアが併発していることがあり,このジストニアは,多くの場合,治療には反応しない.しかしながら,ジストニアのいくつかの病型は,脊髄のニューロンへの感覚入力を特異的に阻害するγ-アミノ酪酸受容体(B 型)作動薬の一つであるバクロフェンの髄腔内投与に反応する.そこで,われわれは,この治療を,多病巣性あるいは全身性の緊張性ジストニアを伴った反射性交感神経性ジストロフィーの 7 例の女性において評価した.
バクロフェン 25 μg,50 μg,75 μg,プラセボを髄腔内にボーラス投与する二重盲検無作為比較対照クロスオーバー試験を実施した.ジストニアの重症度の変化を,それぞれの投与後に,被験者の女性と本試験の医師の 1 人が評価した.試験の第 2 期には,6 例にバクロフェン髄腔内投与を持続的に行うための皮下ポンプを埋め込み,0.5~3 年間追跡した.
6 例では,バクロフェンの 50 μg と 75 μg のボーラス投与にて,手の焦点性ジストニアが完全あるいは部分的に消失したが,下肢のジストニアはほとんど改善しなかった.持続療法では,3 例が手の正常な機能を回復し,さらに,このうちの 2 例は歩行能力も回復した(1 例は屋内での歩行のみ).持続療法を受けた 1 例は,疼痛と激しい攣縮が消失するとともに,上肢のジストニア姿勢が軽減した.2 例では,下肢の痙攣や静止不能状態(restlessness)は減弱したものの,ジストニアに変化はみられなかった.
反射性交感神経性ジストロフィーに関連したジストニアは,患者によっては,バクロフェン髄腔内投与に顕著に反応する.