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October 5, 2000 Vol. 343 No. 14

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ヒト免疫不全ウイルス 1 型の母子伝播を予防するためのジドブジンの短縮レジメンに関する試験
A Trial of Shortened Zidovudine Regimens to Prevent Mother-to-Child Transmission of Human Immunodeficiency Virus Type 1

M. LALLEMANT AND OTHERS

背景

ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)の周産期伝播を防ぐためのジドブジンの最適投与期間を決定して,資源が限られている領域でのジドブジンの使用を容易にすべきである.

方 法

今回,われわれは,以下に示すような四つのジドブジン治療レジメンに関する無作為二重盲検同等性試験を実施した;ジドブジンを,母親には妊娠 28 週目から投与を開始し,新生児には生後 6 週間投与する(長期–長期レジメン).このレジメンはプロトコール 076 とほぼ同等のものである;母親には妊娠 35 週目から投与を開始し,新生児には生後 3 日間投与する(短期–短期レジメン);長期–短期レジメン;短期–長期レジメン.なお,母親には分娩中もジドブジンを経口投与した.新生児には,ジドブジンを含有した調合乳を授乳させ,誕生 1 日目,45 日目,120 日目,および 180 日目に HIV-DNA 検査を行った.本試験では,1 回目の中間解析後に,短期–短期レジメンは中止された.

結 果

合計で 1,437 例の女性が本試験に組み入れられた.1 回目の中間解析の時点における HIV の伝播率は,長期–長期レジメンが 4.1%,短期–短期レジメンが 10.5%であった(p = 0.004);この時点において,短期–短期レジメンは中止された.本試験の全期間を通しての伝播率は,長期–長期レジメンが 6.5%(95%信頼区間,4.1~8.9%),長期–短期レジメンが 4.7%(95%信頼区間,2.4~7.0%),短期–長期レジメンが 8.6%(95%信頼区間,5.6~11.6%)であった.また,子宮内伝播率は,母親への治療期間が短かった二つの治療レジメン(5.1%)が,母親への治療期間が長かった二つの治療レジメン(1.6%)よりも有意に高かった.

結 論

ジドブジンの短期–短期レジメンは,その長期–長期レジメンよりも劣り,周産期の HIV 伝播率を上昇させる.長期–短期レジメン,短期–長期レジメン,および長期–長期レジメンの有効性は同等であった.しかしながら,子宮内伝播率が短期-長期レジメンで高かったという結果は,新生児への治療期間を延長しても,母親への治療期間が延長することの代替にはなり得ないということを示している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 982 - 91. )