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July 19, 2001 Vol. 345 No. 3

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BRCA1 または BRCA2 突然変異を保因している女性における予防的両側乳房切除術後の乳癌
Breast Cancer after Prophylactic Bilateral Mastectomy in Women with a BRCA1 or BRCA2 Mutation

H. MEIJERS-HEIJBOER AND OTHERS

背景

BRCA1BRCA2 突然変異を保因している女性は,乳癌のリスクが高く,両側乳房の予防的全摘術を受けることを選択することがある.このような女性におけるこの手技の有効性について検討した.

方 法

病因となる BRCA1 または BRCA2 突然変異を保因し,ロッテルダム家族癌診療所(the Rotterdam Family Cancer Clinic)において乳癌監視プログラムに組み入れられた 139 例の女性を対象として,前向き研究を実施した.組み入れ時に乳癌の病歴を有していた女性は 1 例もいなかった.これらの女性のうち,76 例は最終的に予防的乳房切除術を受けたが,残りの 63 例は定期的監視を継続したままであった.乳癌の発生に対する乳房切除術の効果は,乳房切除術を時間依存性共変量とした Cox の比例ハザードモデルの手法を用いて解析した.

結 果

予防的乳房切除術を受けたあとには,平均 2.9±1.4 年間(±SE)の追跡調査期間が経過しても乳癌症例は 1 例も観察されなかったのに対して,定期的監視を受けていた女性では,3.0±1.5 年間の平均追跡調査期間が経過するまでに 8 例の乳癌が発生した(p = 0.003;ハザード比,0;95%信頼区間,0~0.36).生命表法で求めた監視群の女性全体における乳癌の平均 5 年発生率は,17±7%であった.指数モデルによるこの群の乳癌の年間発生率は 2.5%であった.また,監視群で観測された乳癌の発生件数は,期待数と一致していた(乳癌の期待数に対する観測数の比,1.2;95%信頼区間,0.4~3.7;p = 0.80).

結 論

BRCA1 または BRCA2 突然変異を保因している女性に対しては,両側乳房の予防的全摘術を実施することによって,追跡調査 3 年目までにおける乳癌の発生が減少する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 159 - 64. )