肺癌切除後の生存に及ぼす病院の規模の影響
The Influence of Hospital Volume on Survival after Resection for Lung Cancer
P.B. BACH AND OTHERS
癌の高リスク手術を受けた患者については,その術後死亡率が,これらの手技がより多く行われている病院で低いことが多い.われわれは,病院で実施されている手技の件数(病院の規模)が,肺癌切除後の生存にどの程度関連しているのかを評価するために,人口ベースの研究を実施した.
1985~96 年の期間に非小細胞肺癌の病期 I,II,または IIIA と診断された患者で,監視,疫学および最終結果のプログラム(the Surveillance, Epidemiology, and End Results Program)の対象となっていた 10 研究地域のうちの一つに居住し,全国入院患者標本(the Nationwide Inpatient Sample)に参加している病院で手術を受けた 65 歳以上の患者を対象として,検討を行った(患者 2,118 人,76 病院).
病院の手技の実施件数と,患者の生存とには正の関連が認められた(p<0.001).手術後 5 年目の時点における生存者は,手技の実施件数が最多の病院で手術を受けた患者では 44%であったのに対して,手技の実施件数が最少の病院で手術を受けた患者では 33%であった.手技の実施件数が最多の病院で手術を受けた患者は,手技の実施件数が最少の病院で手術を受けた患者よりも,術後合併症(20% 対 44%)も,30 日死亡率(3% 対 6%)も低かった.
肺癌の切除術を多数こなしている病院でこの手技を受ける患者は,肺切除の手技の実施件数が少ない病院で受ける患者よりも,長期の生存が期待できそうである.