The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

January 3, 2002 Vol. 346 No. 1

溶血性尿毒症症候群に先行するプロトロンビン凝固異常
Prothrombotic Coagulation Abnormalities Preceding the Hemolytic-Uremic Syndrome

W.L. CHANDLER AND OTHERS

背景

溶血性尿毒症症候群は大腸菌(Escherichia coli)O157 : H7 感染による血栓性合併症である.凝固異常がこの疾患に先行し,そしてこの疾患の潜在的な原因となっているのか否かは不明である.

方 法

われわれは,E. coli O157 : H7 に感染した患児 53 例に対し,凝固カスケードの活性化と腎機能を示す一連のマーカーを発症後 4 日以内に測定した.溶血性尿毒症症候群が発症した患児 16 例のうち,できる限り多くの患児でこれらマーカーを再度測定した.

結 果

溶血性尿毒症症候群を続発した患児では,合併症を起さなかった患児に比べて,プロトロンビンフラグメント 1+2,組織プラズミノーゲン活性化因子(t-PA)抗原,t-PA - プラズミノーゲン活性化因子インヒビター 1 型(PAI-1)複合体,および D ダイマーの血漿濃度の中央値が有意に高かった.これらの異常は,窒素血や血小板減少症の発症に先行してみられた.溶血性尿毒症症候群が発症すると,尿中の β2 ミクログロブリンと N アセチル β グルコサミニダーゼの濃度が有意に上昇し(ともに p=0.03),また t-PA 抗原,t-PA - PAI-1 複合体,D ダイマー,プラスミン - 抗プラスミン複合体の血漿濃度も有意に上昇した.線型回帰モデルでは t-PA 抗原の濃度と t-PA - PAI-1 複合体の濃度は相関していた(平方相関係数,0.80,p<0.001).

結 論

溶血性尿毒症症候群ではトロンビン生成(おそらく血栓生成の亢進による)とフィブリン溶解の抑制が腎損傷に先行して起り,腎損傷の原因となるのかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 23 - 32. )