April 17, 2003 Vol. 348 No. 16
冠動脈再狭窄予防に対するパクリタキセル溶出ステント
A Paclitaxel-Eluting Stent for the Prevention of Coronary Restenosis
S.-J. Park and Others
内膜の過形成とその結果としての再狭窄により,冠動脈ステント留置の有効性が制限される.われわれは,再狭窄を予防する手段として,抗増殖剤であるパクリタキセルでコーティングした冠動脈ステントを検討した.
パクリタキセル溶出ステントの再狭窄阻害能を評価するために,多施設共同無作為三重盲検対照試験を実施した.3 施設で,孤立性の冠動脈病変(長さ<15 mm,直径 2.25~3.5 mm)のある患者 177 例に,パクリタキセル溶出ステント(低用量 1.3 μg/mm2 あるいは高用量 3.1 μg/mm2)あるいは対照ステントの植込みを実施した.抗血小板療法として,アスピリンと共にチクロピジン(患者 120 例),クロピドグレル(患者 18 例),シロスタゾール(患者 37 例)のいずれかを投与した.臨床的追跡調査は,1 ヵ月および 4~6 ヵ月の時点で実施し,血管造影による追跡調査は 4~6 ヵ月の時点で実施した.
手術手技に関しては,患者の 99%(177 例中 176 例)で成功した.追跡調査時に,高用量群は対照群と比較して,狭窄の程度(平均[±SD]14±21% 対 39±27%;P<0.001)や遠隔期の内腔径減少(0.29±0.72 mm 対 1.04±0.83 mm,P<0.001)および 50%を超える再狭窄(4% 対 27%,P<0.001)に関して有意に優れた結果を示した.血管内超音波検査の分析により,内膜過形成の容積に用量依存的減少が示された(高用量群 31 mm3,低用量群 18 mm3,対照群 13 mm3).シロスタゾール投与患者における重大な心イベントの発生率は,チクロピジンやクロピドグレル投与を受けている患者よりも高かった.チクロピジンあるいはクロピドグレルの投与を受けた患者において,無事象生存率は,1 ヵ月の時点で高用量群 98%,対照群 100%で,4~6 ヵ月の時点では共に 96%であった.
通常の抗血小板療法と共に用いたパクリタキセル溶出ステントは,標準ステントと同程度の安全性で,再狭窄や新生内膜過形成を効果的に阻害する.