The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

Share

RSS

日本語アブストラクト

April 24, 2003 Vol. 348 No. 17

腫瘍性骨軟化症と X 連鎖低リン血症における線維芽細胞増殖因子 23
Fibroblast Growth Factor 23 in Oncogenic Osteomalacia and X-Linked Hypophosphatemia

K.B. Jonsson and Others

背景

線維芽細胞増殖因子 23(FGF-23)の突然変異は,常染色体優性の低リン血症性くる病を引き起す.この疾患の臨床および検査所見は,腫瘍が FGF-23 メッセンジャー RNA を大量に発現している腫瘍性骨軟化症の所見や,PHEX と呼ばれるリン酸を調節するエンドペプチダーゼでの不活性化突然変異によって引き起される X 連鎖低リン血症の所見と類似している.遺伝子組換え FGF-23 は,in vivo でリン酸塩尿症や低リン血症を誘発することから,FGF-23 がリン酸調節に役割をもつことが示唆される.健常人で FGF-23 が血中に存在するかどうか,FGF-23 が腫瘍性骨軟化症患者や X 連鎖低リン血症患者で上昇しているかどうかを決定するため,これを測定する免疫測定法を開発した.

方 法

[Tyr223]FGF-23(206-222)アミドおよび[Tyr224]FGF-23(225-244)アミドに対するアフィニティー精製ポリクローナル抗体を用いて,179 番目のアルギニンがグルタミンに置換された変異型(R179Q)の組換え型ヒト FGF-23 と,合成ヒト FGF-23(207-244)アミドを同等に検出する,2 部位酵素免疫測定法を開発した.健常成人 147 人(平均年齢[±SD]48.4±19.6 歳),健常児 26 人(平均年齢 10.9±5.5 歳),腫瘍性骨軟化症患者 17 例(平均年齢 43.0±13.3 歳),X 連鎖低リン血症患者 21 例(平均年齢 34.9±17.2 歳)から得た血漿あるいは血清検体を検討した.

結 果

健常成人および健常児での平均 FGF-23 濃度は,それぞれ 55±50,69±36 基準単位(RU)/mL であった.腫瘍性骨軟化症患者 4 例の FGF-23 濃度は 426~7,970 RU/mL で,腫瘍切除後に正常化した.FGF-23 濃度は,腫瘍性骨軟化症が疑われる症例では 481±528 RU/mL,X 連鎖低リン血症患者では 353±510 RU/mL(範囲 31~2,335)であった.

結 論

FGF-23 は,健常人の血漿や血清でも容易に検出でき,腫瘍性骨軟化症や X 連鎖低リン血症患者において顕著に上昇する可能性がある.このことは,この増殖因子がリン酸の恒常性に役割を果していることを示唆している.FGF-23 の測定で,リン酸を喪失する疾患の管理が向上する可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 1656 - 63. )