The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 15, 2003 Vol. 348 No. 20

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

重症急性呼吸器症候群患者における新型コロナウイルスの同定
Identification of a Novel Coronavirus in Patients with Severe Acute Respiratory Syndrome

C. Drosten and Others

背景

重症急性呼吸器症候群(SARS)が新しい臨床疾患として最近確認された.SARS は未知の感染微生物によって引き起されると考えられる.

方 法

SARS 患者から採取した臨床検体について,細胞培養および分子生物学的手法を用いて未知のウイルスを探索した.

結 果

SARS 患者で新種のコロナウイルスが同定された.そのウイルスを細胞培養で分離し,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いたランダム増幅により,300 ヌクレオチドの長さの配列を得た.遺伝学的特徴付けでは,既知のコロナウイルスとの関連はあまり認められないことが示された(ヌクレオチド配列の 50~60%が相同).得られた配列に基づいて,新型ウイルスを検出するための特異的で高感度な従来型の PCR 法およびリアルタイム PCR 法が確立された.ウイルスは SARS 患者のさまざまな臨床検体から検出されたが,対照者では検出されなかった.1 mL 当り最高 108 分子という高濃度のウイルス RNA が喀痰中にみられた.ウイルス RNA は,急性期患者の血漿および回復間近な患者の糞便中にもきわめて低濃度ではあるが検出された.感染患者は,ウイルスが分離されたベロ細胞に対して血清反応陽転を示した.

結 論

新型コロナウイルスは,SARS 発症に関与している可能性がある.

(本論文は 2003 年 4 月 10 日 www.nejm.org に)発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 1967 - 76. )