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May 22, 2003 Vol. 348 No. 21

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重症肺気腫に対する肺容量減少手術と内科的治療とを比較する無作為化試験
A Randomized Trial Comparing Lung-Volume–Reduction Surgery with Medical Therapy for Severe Emphysema

National Emphysema Treatment Trial Research Group

背景

肺容量減少手術は,重症肺気腫に対する緩和治療として提唱されている.死亡率に及ぼす影響,有益性の程度と持続性,および患者選択の基準は明らかにされていない.

方 法

重症肺気腫患者計 1,218 例に呼吸リハビリテーションを行い,肺容量減少手術または継続的な内科的治療を受ける群に無作為に割付けた.

結 果

双方の治療群の全死亡率は 0.11/人・年であった(手術群の死亡のリスク比 1.01;P=0.90).24 ヵ月後,手術群患者の 15%で運動耐容能が 10 W 以上改善したが,これに対して内科的治療群では患者の 3%であった(P<0.001).中間解析に基づき手術による死亡リスクが高かった 140 例の患者サブグループを除外すると,手術群の全死亡率は 0.09/人・年であり,これに対して内科的治療群では 0.10/人・年であった(リスク比 0.89;P=0.31);24 ヵ月後の運動耐容能は手術群患者の 16%で 10 W 以上改善したが,これに対して内科的治療群では患者の 3%であった(P<0.001).主に肺上葉に肺気腫があり運動耐容能が低い患者では,手術群で内科的治療群よりも死亡率が低かった(死亡のリスク比 0.47;P=0.005).肺上葉以外に肺気腫があり運動耐容能が高い患者では,手術群で内科的治療群よりも死亡率が高かった(リスク比 2.06;P=0.02).

結 論

全体的に,肺容量減少手術により運動耐容能が改善する可能性は高くなるが,内科的治療を上回る生存に関する有益性はない.主に肺上葉に肺気腫がありベースラインの運動耐容能が低い患者では,肺容量減少手術は生存にとって有利である.これまでにリスクが高いと報告されていた患者や肺上葉以外に肺気腫がありベースラインの運動耐容能が高い患者は,手術により死亡率が上昇し,機能的な利益がわずかしかないため,肺容量減少手術の候補としては不適である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 2059 - 73. )