出来高払い制度と比較した退役軍人局保健医療制度における地域化と血管造影の過少実施
Regionalization and the Underuse of Angiography in the Veterans Affairs Health Care System as Compared with a Fee-for-Service System
L.A. Petersen and Others
侵襲的処置を大規模医療機関に集中するか,あるいは地域化する施策が積極的に検討されている.そのような施策により,処置を受ける患者では転帰が改善するだろうが,この種の医療機関へいくことのない患者では処置の過少実施が多くなる.急性心筋梗塞後に必要な血管造影の過少実施を,従来のメディケアの出来高払い制度と地域化された退役軍人局(VA)保健医療制度で比較した.
VA 病院 81 ヵ所の退役軍人 1,665 例および VA 以外の病院 1,530 ヵ所のメディケア患者 19,305 例について調査した.全員が高齢男性であった.血管造影法が臨床的に必要と評価された患者において,補正した血管造影使用率および 1 年死亡率を比較した.現場での心臓処置の実施可能性を補正する前後のモデルにおいて,過少実施を比較した.
血管造影法の必要性に関して補正後,両群において過少実施がみられたが,VA 患者ではメディケア患者に比べ血管造影を受ける確率が依然として有意に低かった(43.9% 対 51.0%;オッズ比 0.75;95%信頼区間 0.57~0.96).入院病院における心臓処置の実施可能性について補正すると,血管造影の過少実施(オッズ比 1.02;95%信頼区間 0.82~1.26)および 1 年死亡率(オッズ比 1.08;95%信頼区間 0.89~1.28)についてメディケア患者と VA 患者とのあいだに有意差はみられなかった.
VA,メディケア両制度において,急性心筋梗塞後に必要な血管造影の過少実施がみられるが,過少実施の率は VA において有意に高い.この差は,地域化された VA 保健医療制度では,現場での心臓処置の実施可能性が制限されていることに関連すると考えられた.今後の研究では,効果的な紹介手順や治療優先順位決定をすることにより,地域化方策がどう改善されるかに焦点を当てるべきである.