The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

January 16, 2003 Vol. 348 No. 3

患者の安全:術後の器具およびガーゼの置き忘れに関する危険因子
Patient Safety: Risk Factors for Retained Instruments and Sponges after Surgery

A.A. Gawande, D.M. Studdert, E.J. Orav, T.A. Brennan, and M.J. Zinner

背景

医療過誤の危険因子については,まだ十分に認知されていない.われわれは,外科手術患者における異物の置き忘れに関する危険因子を確認するため,この種の過誤の症例対照研究を実施した.

方 法

マサチューセッツ州の医師の 1/3 を取り扱う大手医療過誤保険会社に 1985~2001 年に提出された,手術用ガーゼや器具の置き忘れに関するすべての申し立て,および事故報告に関連した医療記録を調査した.各事例に関して,同じ 6 ヵ月間に同じタイプの手術を受けた,無作為に選択した対照患者,平均 4 例を同定した.

結 果

合計 61 個の異物の置き忘れ(69%はガーゼ,31%は器具)があった患者 54 例と対照患者 235 例について検討を行った.異物の置き忘れがあった患者のうち 37 例(69%)は再手術を必要とし,1 例は死亡した.異物の置き忘れがあった患者は,対照患者に比べて緊急手術を受けた割合が高く(33% 対 7%,P<0.001),予期せぬ手技の変更があった割合が高かった(34% 対 9%,P<0.001).また,異物の置き忘れがあった患者は,平均体格指数が高く,ガーゼと器具の計数が行われた割合が低かった.多変量解析では,異物残留のリスクの有意な増加に関連する因子は,緊急手術(リスク比 8.8[95%信頼区間 2.4~31.9]),予定外の手技の変更(リスク比 4.1[95%信頼区間 1.4~12.4]),および体格指数(単位が 1 増加するごとのリスク比 1.1[95%信頼区間 1.0~1.2])であった.

結 論

術後の異物残留のリスクは,緊急時,予定外の手技変更,および体格指数の高さに伴い有意に増加する.医療過誤の申し立てに関する症例対照解析により,特定の種類の過誤の危険因子を同定し,定量することが可能である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 229 - 35. )