March 13, 2003 Vol. 348 No. 11
小児期のピーナッツアレルギー発症に関連する因子
Factors Associated with the Development of Peanut Allergy in Childhood
G. Lack, D. Fox, K. Northstone, and J. Golding
ピーナッツアレルギーの有病率は,過去数十年間で上昇していると思われる.ピーナッツアレルギーの家族歴およびアトピー以外の危険因子は知られていない.
13,971 人の就学前児童を対象とした,地域で規定したコホート研究である「エイボン州における親と子の経時的研究(Avon Longitudinal Study of Parents and Children)」のデータを用いて,確実なピーナッツアレルギー歴を有する就学前児童および二重盲検で行ったピーナッツアレルギーテストに反応したサブグループを確認した.まず,全コホートに関するデータを前向きに収集し,その後,ピーナッツに反応する小児の親,および 2 つの対照群(コホートの無作為サンプル,および母親に湿疹の既往があり,小児自身も生後 6 ヵ月以内に湿疹を起した小児のグループ)の親と問診することにより,詳細な情報を後ろ向きに収集した.
49 人の小児でピーナッツアレルギーの既往があった;ピーナッツ投与試験を行った 36 人中 23 人でピーナッツアレルギーが確認された.母親の食事による出生前感作の証拠はなく,臍帯血にはピーナッツ特異的 IgE は検出されなかった.ピーナッツアレルギーは,豆乳または豆乳製品の摂取(オッズ比 2.6;95%信頼区間 1.3~5.2),関節と皮膚の皺での発疹(オッズ比 2.6;95%信頼区間 1.4~5.0),毛細管出血と痂皮形成を伴う発疹(オッズ比 5.2;95%信頼区間 2.7~10.2)と独立して関連していた.問診データの分析では,ピーナッツアレルギーと,ピーナッツオイルを含む皮膚用製剤の使用とのあいだに,有意な独立した関係が認められた(オッズ比 6.8;95%信頼区間 1.4~32.9).
小児におけるピーナッツ蛋白質への感作は,炎症を起した皮膚にピーナッツオイルを塗布したことにより生じる可能性がある.大豆蛋白質との関連は,共通のエピトープを介した交差感作により生じているのかもしれない.さらに研究をすすめてこれらの危険因子を確認することにより,後にピーナッツアレルギーになるリスクがある幼児の感作を予防する新しい方法が生み出されるかもしれない.