The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

September 25, 2003 Vol. 349 No. 13

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

深部静脈血栓症が疑われる症例の診断における D ダイマーの評価
Evaluation of D-Dimer in the Diagnosis of Suspected Deep-Vein Thrombosis

P.S. Wells and Others

背景

深部静脈血栓症が疑われる患者において,超音波検査,D ダイマーの測定,および臨床的な疾病確率の評価を用いたいくつかの診断方法は安全であることが証明されているが,無作為試験でこれらが比較されたことはない.

方 法

下肢深部静脈血栓症の疑いで受診した外来患者を適格患者とした.臨床モデルを用いて,医師は患者を評価し,深部静脈血栓症の可能性の有無で患者を分類した.その後,患者を超音波検査のみを受ける群(対照群)または D ダイマー検査後に超音波検査を受ける群(D ダイマー群)に無作為に割付けた.ただし D ダイマー検査の結果が陰性で臨床的に深部静脈血栓症の可能性がないと考えられた場合には,超音波検査は実施しなかった.

結 果

患者 530 例が対照群に,566 例が D ダイマー群に無作為に割付けられた.深部静脈血栓症または肺塞栓症の集団全体の有病率は 15.7%であった.初期診断法により深部静脈血栓症が除外された患者において,3 ヵ月間の追跡期間中に,D ダイマー群では 2 件(0.4%;95%信頼区間 0.05~1.5%),対照群では 6 件(1.4%;95%信頼区間 0.5~2.9%;P=0.16)の静脈血栓塞栓性のイベントが生じた.D ダイマー検査の使用により,超音波検査の使用は,対照群での患者 1 例当り平均 1.34 回から D ダイマー群での 0.78 回に有意に減少した(P=0.008).D ダイマー群の患者 218 例(39%)では超音波検査が不要であった.

結 論

臨床的に深部静脈血栓症の可能性はほとんどないと判断され,D ダイマー検査が陰性の患者では,深部静脈血栓症を否定することができる.このような患者では超音波検査を省略しても安全である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1227 - 35. )