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October 2, 2003 Vol. 349 No. 14

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メディケア患者における膝関節形成術の施行率の人種的,民族的および地域的格差
Racial, Ethnic, and Geographic Disparities in Rates of Knee Arthroplasty among Medicare Patients

J. Skinner, J.N. Weinstein, S.M. Sporer, and J.E. Wennberg

背景

メディケア登録者における膝関節形成術の施行は,人種や民族集団,性別によって大きな差がある.人種的・民族的格差は,ある地域で他の地域より顕著であろうか? 顕著な場合には,どのような理由があるのであろうか?

方 法

1998~2000 年のすべてのメディケアの出来高払い請求のデータを用いて,病院委託地域(Hospital Referral Region),性別,人種や民族集団に基づいて膝関節形成術の施行率を調査した.3 年間の研究期間中に,計 430,726 件の膝関節形成術が行われた.

結 果

全米レベルでは,膝関節形成術の年間施行率は,非ヒスパニック系白人女性(1,000 人当り 5.97 件)でヒスパニック系女性(1,000 人当り 5.37 件)や黒人女性(1,000 人当り 4.84 件)よりも高かった.非ヒスパニック系白人男性の施行率(1,000 人当り 4.82 件)は,ヒスパニック系男性(1,000 人当り 3.46 件)よりも高く,黒人男性(1,000 人当り 1.84 件)の 2 倍以上であった.米国内のほぼすべての地域で,施行率は,黒人男性で非ヒスパニック系白人男性よりも有意に低かった(P<0.05).ヒスパニック系集団と黒人女性に関して,全米レベルでみられた人種的・民族的格差は,一部には地域差によるもので,地域内での各人種集団や民族集団における施行率の違いではなかった.人種による居住地域の分離と所得レベルが低いことが,関節形成術の施行率における人種的・民族的格差の一因となっていた.

結 論

メディケア集団では,膝の変形性関節炎に対する外科的治療率は,性別,人種や民族集団,および地域によって大きな差がある.この差は,医療に対する人種的・民族的障壁を決定するうえでの,地域性と性別の重要性を強調している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1350 - 9. )