October 16, 2003 Vol. 349 No. 16
子宮頸癌スクリーニングの受診間隔の延長に伴う子宮頸癌のリスク
Risk of Cervical Cancer Associated with Extending the Interval between Cervical-Cancer Screenings
G.F. Sawaya and Others
現行のガイドラインでは,前回の検査で陰性を示した低リスク女性では,パパニコロー検査の間隔を 3 年に延長できることが示唆されているが,年 1 回よりも低い頻度でのスクリーニングと子宮頸癌リスクの増加との関連性は明らかにされていない.
65 歳未満の女性 938,576 例を対象に,生検で判明した子宮頸部腫瘍の有病率を検討し,以前のパパニコロー検査で連続して陰性であった結果の回数に従って層別化した.異形成が癌に進行する割合を推定するマルコフモデルを用いて,パパニコロー検査で 1 回以上陰性を示したあと 3 年以内に癌が発生するリスクと,特定のスクリーニング間隔で癌 1 例を防ぐのに必要な追加のパパニコロー検査および膣鏡検査の回数を推定した.
検査結果が 3 回以上連続して陰性であった 30~64 歳の女性 31,728 例では,生検で判明したグレード 2 の子宮頸部上皮内腫瘍の有病率は 0.028%であり,グレード 3 の腫瘍の有病率は 0.019%であった.浸潤性子宮頸癌の女性はいなかった.われわれのモデルによると,年 1 回のパパニコロー検査を 3 年間実施した場合の推定癌リスクは,30~44 歳の女性では 100,000 人当り 2 例,45~59 歳の女性では 100,000 人当り 1 例,60~64 歳の女性では 100,000 人当り 1 例であった.これらのリスクは,最後の陰性検査後 3 年に 1 回スクリーニングを行った場合,それぞれ 100,000 人当り 5 例,2 例,1 例となる.100,000 例の女性を最後の陰性検査後 3 年に 1 回スクリーニングするのではなく,年 1 回のスクリーニングを 3 年間行うことで癌をさらに 1 例予防するためには,30~44 歳の女性では平均して 69,665 回のパパニコロー検査と 3,861 回の膣鏡検査の追加が必要であり,45~59 歳の女性では平均して 209,324 回のパパニコロー検査と 11,502 回の膣鏡検査の追加が必要であると考えられる.
年 1 回のスクリーニングを 3 年間行う場合と比較して,最後の陰性検査後 3 年に 1 回スクリーニングを行うことは,連続して 3 回以上パパニコロー検査結果が陰性であった30~64 歳女性では,子宮頸癌のリスクが平均して 100,000 人当り約 3 例増加することと関連している.