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October 30, 2003 Vol. 349 No. 18

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肺塞栓症の初期治療におけるフォンダパリヌクス皮下投与と未分画ヘパリン静脈内投与の比較
Subcutaneous Fondaparinux versus Intravenous Unfractionated Heparin in the Initial Treatment of Pulmonary Embolism

The Matisse Investigators

背景

血行動態の安定した肺塞栓症患者に対する標準的初期治療は,血中濃度のモニタリングおよび入院が必要となる未分画ヘパリンの静脈内投与である.

方 法

症候性急性肺塞栓症患者 2,213 例を対象として無作為非盲検試験を実施した.合成抗血栓症薬であるフォンダパリヌクス(fondaparinux)の有効性と安全性を未分画ヘパリンと比較し,有効性に関して劣らないことを実証することを目的とした.患者に,フォンダパリヌクス(体重が 50 kg 未満,50~100 kg,100 kg を超える患者に,それぞれ 5.0 mg,7.5 mg,10.0 mg)を 1 日 1 回皮下投与するか,あるいは未分画ヘパリン(活性化部分トロンボプラスチン時間の正常対照値に対する比,1.5~2.5)の静脈内持続注入を実施した.両剤は少なくとも 5 日間,さらにビタミン K 拮抗薬を使用することで国際標準比(INR)が 2.0 以上になるまで投与した.有効性の主要転帰は,症候性の再発性肺塞栓症(非致死的または致死的)および新規または再発性の深部静脈血栓症の複合エンドポイントの,3 ヵ月での発生率であった.

結 果

フォンダパリヌクス投与に無作為に割付けられた患者 1,103 例中 42 例(3.8%)で再発性血栓塞栓症イベントが発生し,これに対し,未分画ヘパリン投与に無作為に割付けられた患者では,1,110 例中 56 例(5.0%)であった.絶対差は-1.2 ポイントで,フォンダパリヌクスが優れていた(95%信頼区間-3.0~0.5).重大な出血は,フォンダパリヌクス治療患者の 1.3%と未分画ヘパリン治療患者の 1.1%で発生した.3 ヵ月の時点での死亡率は 2 群間で同様であった.フォンダパリヌクス群では,患者の 14.5%が投与の一部を外来で受けた.

結 論

血行動態の安定した肺塞栓症患者の初期治療において,モニタリングを行わない 1 日 1 回のフォンダパリヌクスの皮下投与は,用量を調整した未分画ヘパリンの静脈内投与と比較して,少なくとも有効性は同程度であり,安全性も同程度である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1695 - 702. )