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November 13, 2003 Vol. 349 No. 20

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心不全,左室機能不全またはその両方を併発した心筋梗塞におけるバルサルタン,カプトプリルまたはその併用療法
Valsartan, Captopril, or Both in Myocardial Infarction Complicated by Heart Failure, Left Ventricular Dysfunction, or Both

M.A. Pfeffer and Others

背景

カプトプリルなどのアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は,左室収縮機能不全,心不全,またはその両方を併発した心筋梗塞患者の死亡率や心血管疾患への罹患率を減少させる.二重盲検試験で,この患者集団におけるアンジオテンシン受容体拮抗薬のバルサルタン,ACE 阻害薬のカプトプリル,および 2 剤併用の死亡率に対する効果を比較した.

方 法

従来の治療を受けている患者を,急性心筋梗塞から 0.5~10 日後にバルサルタン(患者 4,909 例),バルサルタン+カプトプリル(患者 4,885 例),カプトプリル(患者 4,909 例)のいずれかの追加療法に無作為に割付けた.主要エンドポイントは,全死因死亡とした.

結 果

中央値 24.7 ヵ月の追跡期間中に,バルサルタン群では患者 979 例が死亡し,バルサルタン+カプトプリル群では 941 例が,カプトプリル群では 958 例が死亡した(カプトプリル群と比較した場合のバルサルタン群のハザード比 1.00;97.5%信頼区間 0.90~1.11;P=0.98;カプトプリル群と比較した場合のバルサルタン+カプトプリル群のハザード比 0.98;97.5%信頼区間 0.89~1.09;P=0.73).バルサルタン群をカプトプリル群と比較した場合の片側 97.5%信頼区間の上限は,死亡率(P=0.004)と致死的および非致死的な心血管イベントの複合エンドポイント(P<0.001)に関して,事前に規定した非劣性規準の範囲内にあった.バルサルタン+カプトプリル群では薬物関連の有害事象がもっとも多かった.単独療法では,バルサルタン群で低血圧と腎機能不全がより多く,カプトプリル群では咳嗽,発疹,味覚障害がより多かった.

結 論

心筋梗塞後の心血管イベントのリスクが高い患者では,バルサルタンはカプトプリルと同程度に有効である.バルサルタンとカプトプリルの併用は,生存率を改善することなく,有害事象の発現率を増加させた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1893 - 906. )