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November 27, 2003 Vol. 349 No. 22

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高齢者における Lp(a)リポ蛋白,血管疾患,および死亡率
Lp(a) Lipoprotein, Vascular Disease, and Mortality in the Elderly

A.A. Ariyo, C. Thach, and R. Tracy

背景

高齢者で発生する血管系イベントの予測因子は,中高年の場合と比べあまり解明されていない.Lp(a)リポ蛋白は,アテローム血栓形成に大きな役割を果し,血管疾患リスクの増大と関連することが認められている.この関連性を米国の高齢者を対象に検討した.

方 法

米国で地域社会に居住する高齢者(65 歳以上)5,888 例を対象とした前向き研究において,血管疾患のない女性 2,375 例および男性 1,597 例からベースライン時に血清検体を採取し,Lp(a)リポ蛋白濃度を分析した.これら 3,972 例の被験者に,中央値 7.4 年間の追跡調査を行って脳卒中の発生を評価し,血管性の原因および全死因による死亡を追跡した.これらの男女は,ベースライン時の Lp(a)リポ蛋白濃度に従って五分位群に分けた.

結 果

Cox 比例ハザードモデルを用いて,各分位の Lp(a)リポ蛋白濃度に関連するリスクを決定した.最低五分位群を基準群とした.最低位群と比較して,最高五分位群の男性では,補正を行わない状態での脳卒中リスクが 3 倍(相対リスク 3.00;95%信頼区間 1.59~5.65),血管系イベントに関連した死亡のリスクがほぼ 3 倍(相対リスク 2.54;95%信頼区間 1.59~4.08),全死因死亡のリスクが 2 倍近く(相対リスク 1.76;95%信頼区間 1.31~2.36)高かった.年齢,性別,総コレステロール値・低比重リポ蛋白コレステロール値・トリグリセリド値,頸動脈壁厚,喫煙状況,糖尿病ならびに収縮期および拡張期の高血圧の有無,体格指数,そして他の従来からの危険因子に関して補正を行ったが,最終評価にほとんど影響はなかった.女性に行った同様な分析では,エストロゲンの使用の有無に関しても補正を行ったが,男性で認められたような関連性は認められなかった.

結 論

米国の高齢者では,Lp(a)リポ蛋白濃度の高値は,男性において,脳卒中,血管疾患による死亡,および全死因死亡の独立した予測因子であったが,女性の場合には当てはまらなかった.これらのデータは,高齢の男性においてこれらのイベントのリスクを予測するさいに Lp(a)リポ蛋白濃度を用いることを支持している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 2108 - 15. )