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December 4, 2003 Vol. 349 No. 23

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処方医薬品の使用と費用に与えるインセンティブ方式償還医薬品集の影響
The Effect of Incentive-Based Formularies on Prescription-Drug Utilization and Spending

H.A. Huskamp and Others

背景

多くの雇用者や医療保険が,処方医薬品のコスト管理の目的でインセンティブ方式償還医薬品集を採用している.

方 法

償還医薬品集制度の変更を実施した雇用者が出資する 2 つの医療保険における医薬品の利用と費用を,同一の保険者が提供する保険の被保険者から成る比較群における利用および費用と比較するために,請求データを利用した.第 1 の医療保険は,一分類式から三分類式償還医薬品集への変更ならびに全被保険者の医薬品負担額の増加を同時に行った.第 2 の医療保険は,二分類式から三分類式の償還医薬品集への変更を行い,第三分類の医薬品に対しての負担額のみ変更した.アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,プロトンポンプ阻害薬および 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル CoA 還元酵素阻害薬(スタチン)の使用について評価した.

結 果

より著しい変更を行った雇用者が出資する保険の被保険者は,医薬品利用の確率や,医療保険から被保険者への支出の大きな変化について,比較群よりも増加がより緩やかであった.当初第三分類のスタチンを処方されていた被保険者では,介入群で比較群よりも多くの被保険者が,第一分類あるいは第二分類の医薬品へ変更するか(49% 対 17%,P<0.001),スタチン投与を完全に中止した(21% 対 11%,P=0.04).ACE 阻害薬やプロトンポンプ阻害薬についても同様の傾向がみられた.より緩やかな変更を行った雇用者が出資する保険の被保険者は,比較群よりも,第一分類あるいは第二分類の医薬品への変更を受けることが多かったが,そのクラスの医薬品を完全に中止にする頻度はより高くなることはなかった.

結 論

償還医薬品集制度におけるさまざまな変更は,治療の利用や費用に著しく異なる影響を与え,場合によっては被保険者の治療の中止につながる可能性もある.関連する患者負担額の変化は,被保険者による自己負担支出や,医薬品利用の継続を顕著に変え,さらにケアの質まで変化させてしまう可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 2224 - 32. )