December 18, 2003 Vol. 349 No. 25
良性前立腺肥大症の臨床的進展に対するドキサゾシン,フィナステリドの単剤または併用療法の長期効果
The Long-Term Effect of Doxazosin, Finasteride, and Combination Therapy on the Clinical Progression of Benign Prostatic Hyperplasia
J.D. McConnell and Others
良性前立腺肥大症は,一般にαアドレナリン受容体拮抗薬(α遮断薬)または 5α還元酵素阻害薬で治療される.これらの薬剤の単剤あるいは併用療法が,臨床的進展のリスクに与える長期効果は明らかではない.
男性 3,047 例を対象に長期の二重盲検試験(平均追跡期間 4.5 年)を行い,プラセボ,ドキサゾシン,フィナステリド,およびその併用療法が,良性前立腺肥大症の臨床的進展の指標に及ぼす効果を比較した.
全般的な臨床的進展――米国泌尿器科学会(AUA)の症状スコアのベースラインからの 4 ポイント以上の上昇,急性尿閉,尿失禁,腎不全,再発性尿路感染症のいずれかと定義――は,プラセボと比較して,ドキサゾシンで有意に低下し(39%のリスク低下,P<0.001),フィナステリドでも有意に低下した(34%のリスク低下,P=0.002).併用療法に関連するリスクの低下(プラセボと比較して 66%,P<0.001)は,ドキサゾシン単剤に関連するリスクの低下よりも有意に大きく(P<0.001),フィナステリド単剤に関連するリスクの低下よりも有意に大きかった(P<0.001).急性尿閉のリスクと侵襲的な治療の必要性は,併用療法で有意に低下し(P<0.001),フィナステリドでも有意に低下したが(P<0.001),ドキサゾシンでは有意な低下はみられなかった.症状スコアには,プラセボと比較して有意な改善が,ドキサゾシン(P<0.001),フィナステリド(P=0.001),併用療法(P<0.001)で認められ,併用療法は,ドキサゾシン単剤よりも良好であり(P=0.006),フィナステリド単剤よりも良好であった(P<0.001).
ドキサゾシンとフィナステリドの長期併用療法は安全であり,いずれかの単剤療法よりも,良性前立腺肥大症の全般的な臨床的進展のリスクが有意に低下した.また,併用療法とフィナステリド単剤療法では,急性尿閉の長期リスクと侵襲的な治療の必要性が低下した.