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July 17, 2003 Vol. 349 No. 3

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結腸癌に対するフルオロウラシルを基本とした補助化学療法の効果予測因子としての腫瘍マイクロサテライト不安定性
Tumor Microsatellite-Instability Status as a Predictor of Benefit from Fluorouracil-Based Adjuvant Chemotherapy for Colon Cancer

C.M. Ribic and Others

背景

マイクロサテライト不安定性を高頻度に示す結腸癌には,マイクロサテライト安定性腫瘍と区別するのことのできる臨床像および病理学的特徴がある.われわれは,病期 II および III の結腸癌における,フルオロウラシルを用いた補助化学療法の効果予測因子としての,マイクロサテライト不安定性の有用性を検討した.

方 法

フルオロウラシルを基本とした補助化学療法の無作為試験に参加した結腸癌患者から,腫瘍標本を採取した.マイクロサテライト不安定性は,モノヌクレオチドおよびジヌクレオチドをマーカーとして用いて評価した.

結 果

組織標本 570 個のうち,95 個(16.7%)が高頻度マイクロサテライト不安定性を示した.補助化学療法を受けなかった患者 287 例のうち,高頻度マイクロサテライト不安定性を示す腫瘍のある患者は,マイクロサテライト安定性または低頻度不安定性を示す腫瘍のある患者に比べて,5 年全生存率が良好であった(死亡のハザード比 0.31[95%信頼区間 0.14~0.72];P=0.004).補助化学療法を受けた患者では,高頻度マイクロサテライト不安定性は,全生存率の上昇とは関連していなかった(死亡のハザード比 1.07[95%信頼区間 0.62~1.86];P=0.80).治療の効果は,マイクロサテライト不安定性によって有意に異なっていた(P=0.01).病期と悪性度分類で補正した多変量解析によると,補助化学療法により,マイクロサテライト安定性腫瘍または低頻度マイクロサテライト不安定性を示す腫瘍のある患者の全生存率が向上した(死亡のハザード比 0.72[95%信頼区間 0.53 ~ 0.99];P=0.04).これに対し,高頻度マイクロサテライト不安定性を示す群では補助化学療法の効果が認められなかった.

結 論

フルオロウラシルを基本とした補助化学療法は,マイクロサテライト安定性腫瘍または低頻度マイクロサテライト不安定性を示す腫瘍のある病期 II または III の結腸癌患者に対しては効果があるが,高頻度マイクロサテライト不安定性を示す腫瘍のある患者に対しては効果がない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 247 - 57. )