The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 31, 2003 Vol. 349 No. 5

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

転移性腎癌に対する抗血管内皮増殖因子抗体ベバシツマブに関する無作為試験
A Randomized Trial of Bevacizumab, an Anti-Vascular Endothelial Growth Factor Antibody, for Metastatic Renal Cancer

J.C. Yang and Others

背景

癌抑制遺伝子 VHL の変異は,腎明細胞癌による血管内皮増殖因子の過剰産生を引き起す.われわれは,転移性腎細胞癌患者において,抗血管内皮増殖因子中和抗体であるベバシツマブ(bevacizumab)を評価するための臨床試験を実施した.

方 法

2 週ごとに投与する,体重 1 kg 当り 3 mg あるいは 10 mg のベバシツマブとプラセボとを比較する無作為二重盲検第 II 相試験を実施した;疾患進行までの時間と奏効率を主要エンドポイントとした.プラセボから抗体療法へのクロスオーバーを認め,生存率は副次的エンドポイントとした.

結 果

毒性作用はごくわずかで,主に高血圧や無症候性蛋白尿が認められた.試験は,中間解析で早期中止の基準を満たしたため中止された.無作為に割付けられた患者 116 例(40 例はプラセボ群,37 例は低用量抗体群,39 例は高用量抗体群)のうち,高用量抗体群では疾患進行までの時間がプラセボ群と比較して有意に延長した(ハザード比 2.55;P<0.001).低用量抗体群の疾患進行までの時間とプラセボ群の疾患進行までの時間には,境界線上の有意差を示すわずかな差があった(ハザード比 1.26;P=0.053).高用量抗体投与,低用量抗体投与およびプラセボ投与の患者それぞれで疾患進行がない状態である確率は,4 ヵ月の時点で 64%,39%,20%,また 8 ヵ月の時点で 30%,14%,5%であった.最終解析では,全生存率に関して群間に有意な差はなかった(すべての比較に対して P>0.20).

結 論

ベバシツマブは,転移性腎細胞癌患者において疾患進行までの時間を有意に延長することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 427 - 34. )