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August 7, 2003 Vol. 349 No. 6

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閉経後女性におけるホルモン療法と冠動脈のアテローム性動脈硬化の進行
Hormone Therapy and the Progression of Coronary-Artery Atherosclerosis in Postmenopausal Women

H.N. Hodis and Others

背景

冠動脈疾患を有する閉経後女性において,結合型ウマエストロゲンは,酢酸メドロキシプロゲステロンの連続投与の併用の有無にかかわらず,アテローム性動脈硬化の進行を遅らせることができなかった.17β-エストラジオール(内因性エストロゲン分子)の単独投与あるいは酢酸メドロキシプロゲステロンを併用する逐次投与により,アテローム性動脈硬化の進行を遅らせることが可能かどうかは明らかにされていない.

方 法

冠動脈病変が 1 ヵ所以上にみられる閉経後女性 226 例(平均年齢 63.5 歳)を対象として,二重盲検プラセボ対照試験を行った.試験参加者を,通常治療(対照群),微粒子化 17β-エストラジオールの単独投与によるエストロゲン療法(エストロゲン群),または 17β-エストラジオールと酢酸メドロキシプロゲステロンの併用による逐次投与(エストロゲン–プロゲスチン群)に無作為に割付けた.全患者で低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値を,目標の 130 mg/dL 未満まで減少させた.主要評価項目は,定量的冠動脈造影法で測定した狭窄率の,ベースライン時と追跡時における参加者 1 例当りの平均変化であった.

結 果

中央値 3.3 年の追跡後,治療前後の血管造影像がある参加者 169 例における狭窄率の平均(±SE)変化は,対照群で 1.89±0.78 パーセントポイント,エストロゲン群で 2.18±0.76 パーセントポイント,エストロゲン–プロゲスチン群で 1.24±0.80 パーセントポイントであった(3 群間での比較について P=0.66).エストロゲン群と対照群の狭窄率の平均差は 0.29 パーセントポイント(95%信頼区間 -1.88~2.46),エストロゲン–プロゲスチン群と対照群の平均差は -0.65(95%信頼区間 -2.87~1.57)であった.

結 論

冠動脈アテローム性動脈硬化を起した高齢の閉経後女性において,17β-エストラジオールは単独投与でも酢酸メドロキシプロゲステロンの併用による逐次投与でも,アテローム性動脈硬化の進行に有意な効果を示さなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 535 - 45. )