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August 14, 2003 Vol. 349 No. 7

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静脈血栓塞栓症再発の長期予防のための低用量ワルファリン療法と従来用量ワルファリン療法との比較
Comparison of Low-Intensity Warfarin Therapy with Conventional-Intensity Warfarin Therapy for Long-Term Prevention of Recurrent VTE

C. Kearon and Others

背景

ワルファリンは静脈血栓塞栓症の再発予防にきわめて有効であるが,相当の出血リスクにも関連している.3 ヵ月間従来のワルファリン療法を行ったあとに,低用量の抗凝固薬による治療を行えば,結果として出血を抑えることができ,そのうえで静脈血栓塞栓症再発を予防できるかもしれない.

方 法

原因のはっきりしない静脈血栓塞栓症に対する 3 ヵ月間以上のワルファリン治療を完了した患者 738 例を,目標国際標準比(INR)2.0~3.0(従来用量)または目標 INR 1.5~1.9(低用量)のワルファリン治療継続のいずれかに無作為に割付け,無作為二重盲検試験を行った.患者を平均 2.4 年間追跡した.

結 果

低用量療法に割付けられた 369 例のうち 16 例(100 人-年当り 1.9 例)に静脈血栓塞栓症が再発したのに対し,従来用量療法に割付けられた 369 例では 6 例(100 人-年当り 0.7 例)であった(ハザード比 2.8,95%信頼区間 1.1~7.0).重大な出血のエピソードは,低用量療法に割付けられた 9 例(100 人-年当り 1.1 件)と,従来用量療法に割付けられた 8 例(100 人-年当り 0.9 件)に生じた(ハザード比 1.2,95%信頼区間 0.4~3.0).全出血の頻度には,2 群間で有意差を認めなかった(ハザード比 1.3,95%信頼区間 0.8~2.1).

結 論

静脈血栓塞栓症再発の長期予防には,従来用量ワルファリン治療のほうが低用量ワルファリン治療より有効である.低用量ワルファリン療法では,臨床上重大な出血のリスクは低減しない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 631 - 9. )