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August 28, 2003 Vol. 349 No. 9

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心臓移植レシピエントにおける同種移植片拒絶反応および血管病変予防のためのエベロリムス
Everolimus for the Prevention of Allograft Rejection and Vasculopathy in Cardiac-Transplant Recipients

H.J. Eisen and Others

背景

新しい増殖阻害薬であり免疫抑制薬であるエベロリムス(everolimus)は,心臓同種移植片の血管病変を抑制する可能性がある.われわれは,はじめて心臓移植を受けたレシピエントを対象として,エベロリムスとアザチオプリンを比較する無作為二重盲検臨床試験を実施した.

方 法

合計 634 例の患者を,エベロリムスを 1.5 mg/日投与する群(209 例),エベロリムスを 3.0 mg/日投与する群(211 例),アザチオプリンを 1.0~3.0 mg/kg 体重/日投与する群(214 例)に無作為に割り付けた.それぞれ,シクロスポリン,コルチコステロイド,スタチンを併用した.主要有効性エンドポイントは,死亡,移植片喪失または再移植,追跡調査からの脱落,生検により確認されたグレード 3A の急性拒絶反応,血行力学的障害を伴う拒絶反応の複合とした.

結 果

6 ヵ月の時点で,主要有効性エンドポイントに達した患者の割合は,アザチオプリン群(46.7%)に比べて,エベロリムス 3.0 mg 群(27.0%)は有意に低く(P<0.001),エベロリムス 1.5 mg 群(36.4%)も有意に低かった(P=0.03).血管内超音波検査により,移植後 12 ヵ月の最大内膜厚の増加の平均値は,2 つのエベロリムス群が,アザチオプリン群に比べて有意に小さかったことが明らかになった.血管病変の発症率も,アザチオプリン群(52.8%)に比べて,1.5 mg 群(35.7%)は有意に低く(P=0.045),3.0 mg 群(30.4%)も有意に低かった(P=0.01).サイトメガロウイルス感染率は,アザチオプリン群(21.5%)に比べて,1.5 mg 群(7.7%)は有意に低く(P<0.001),3.0 mg 群(7.6%)も有意に低かった(P<0.001).細菌感染率は,3.0 mg 群がアザチオプリン群よりも有意に高かった.血清クレアチニン濃度も,2 つのエベロリムス群がアザチオプリン群よりも有意に高かった.

結 論

エベロリムスは,心臓同種移植片血管病変の重症度と発症率を減少させるうえでアザチオプリンよりも有効であった.このことは,エベロリムス療法がこの深刻な問題を多少とも解決する可能性を示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 847 - 58. )