April 29, 2004 Vol. 350 No. 18
鼠径ヘルニアに対するメッシュプラグ法と腹腔鏡下メッシュ修復法の比較
Open Mesh versus Laparoscopic Mesh Repair of Inguinal Hernia
L. Neumayer and Others
男性の鼠径ヘルニア修復術は一般的な外科手技であるが,もっとも効果的な手術手技は不明である.
米国 14 ヵ所の退役軍人(VA)医療センターで,鼠径ヘルニアの男性患者を,腹腔鏡を用いないメッシュ修復法(メッシュプラグ法)または腹腔鏡下で行うメッシュ修復法に無作為に割付けた.主要転帰は,2 年の時点でのヘルニア再発とした.副次的転帰は,合併症と患者それぞれの転帰とした.
患者 2,164 例をこの 2 種類の手技のいずれかに無作為に割付けた.うち 1,983 例が手術を受け,1,696 例(85.5%)が 2 年間の追跡期間を完了した.再発は,腹腔鏡下群(患者 862 例中 87 例 [10.1%])で,メッシュプラグ群(患者 834 例中 41 例 [4.9%])よりも多くみられた(オッズ比 2.2;95%信頼区間 1.5~3.2).合併症の発生率は,腹腔鏡下群のほうがメッシュプラグ群よりも高かった(39.0% 対 33.4%;補正後のオッズ比 1.3;95%信頼区間 1.1~1.6).初期の疼痛に関しては,腹腔鏡下群は,メッシュプラグ群よりも手術当日(視覚アナログスケールでの平均スコアの差 10.2 mm;95%信頼区間 4.8~15.6)および 2 週間の時点(6.1 mm;95%信頼区間 1.7~10.5)で少なく,日常的な活動への復帰が 1 日早かった(日常的な活動に戻るまでの期間がより短いことに対する補正ハザード比 1.2;95%信頼区間 1.1~1.3).あらかじめ規定した解析では,外科的アプローチ法(メッシュプラグあるいは腹腔鏡下)とヘルニアの種類(初発あるいは再発)とのあいだに有意な相互作用が認められた(P=0.012).初発ヘルニアにおいては,腹腔鏡下法のほうがメッシュプラグ法よりも術後の再発率が有意に高かったが(10.1% 対 4.0%),再発ヘルニア修復後の再発率は,2 群間でほぼ同等であった(それぞれ 10.0% 対 14.1%).
初発ヘルニアのメッシュを用いた修復に関して,メッシュプラグ法は腹腔鏡下法よりも優れている.