March 24, 2005 Vol. 352 No. 12
子供を亡くした親の精神障害による入院
Hospitalization for Mental Illness among Parents after the Death of a Child
J. Li and Others
子供の死は,親の一生のうちでもっとも強いストレスを感じる出来事の 1 つと考えられる.子供を亡くした親では,精神障害,とくに情動障害による入院のリスクが増大するという仮説を立てた.
デンマークの全国登録で,1952~99 年に生まれ,1970~99 年の追跡期間中に 18 歳未満の子供を 1 人以上もっていた人を同定し,1,082,503 人のコホートについて検討を行った.追跡期間中に子供を亡くした親を,子供が死亡した日から「遺族」と分類した.
子供を亡くしていない親と比較して,子供を亡くした親では,精神科に関連するあらゆる障害による初回入院の全体的な相対リスクは 1.67(95%信頼区間 1.53~1.83)であった.子供を亡くした母親は,子供を亡くした父親よりも,あらゆる精神障害による入院の相対リスクが高かった(それぞれ相対リスク 1.78 [95%信頼区間 1.60~1.98],1.38 [95%信頼区間 1.17~1.63];相互作用に関する P 値 0.01).とくに情動障害による入院の相対リスクは,子供を亡くした母親と父親で,それぞれ 1.91(95%信頼区間 1.59~2.30)と 1.61(95%信頼区間 1.15~2.27)であった.母親では,あらゆる精神障害による入院の相対リスクは子供の死後 1 年間がもっとも高かったが,子供の死から 5 年以上経過しても依然として有意に高かった.
精神障害による入院のリスクは,子供を亡くした親,とくに母親で増大した.