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March 31, 2005 Vol. 352 No. 13

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女性の心血管疾患の一次予防における低用量アスピリン
A Randomized Trial of Low-Dose Aspirin in the Primary Prevention of Cardiovascular Disease in Women

P.M. Ridker and Others

背景

低用量アスピリンは,男性において,初回心筋梗塞のリスクを下げ,虚血性脳卒中のリスクにはほとんど影響を及ぼさないことが無作為試験で示されている.女性では,同様のデータはほとんどない.

方 法

試験開始時に健康であった 45 歳以上の女性 39,876 例を,アスピリン 100 mg の隔日投与またはプラセボ投与に無作為に割付け,初回の重大な心血管イベント(非致死的な心筋梗塞,非致死的な脳卒中,心血管系の原因による死亡のいずれか)について 10 年間監視した.

結 果

追跡期間中,アスピリン群では 477 件の重大な心血管イベントが確認されたのに対し,プラセボ群では 522 件であった.アスピリンによるリスク低下は 9%で,有意差はなかった(相対リスク 0.91,95%信頼区間 0.80~1.03,P=0.13).それぞれのエンドポイントに関しては,脳卒中のリスクが,プラセボ群との比較でアスピリン群で 17%低下した(相対リスク 0.83,95%信頼区間 0.69~0.99,P=0.04).これは,虚血性脳卒中リスクの 24%の低下(相対リスク 0.76,95%信頼区間 0.63~0.93,P=0.009)と,出血性脳卒中リスクの有意ではない増加(相対リスク 1.24,95%信頼区間 0.82~1.87,P=0.31)による.プラセボと比較して,アスピリンは,致死的・非致死的な心筋梗塞のリスク(相対リスク 1.02,95%信頼区間 0.84~1.25,P=0.83)や心血管系の原因による死亡のリスク(相対リスク 0.95,95%信頼区間 0.74~1.22,P=0.68)に有意な影響を及ぼさなかった.輸血を必要とする消化管出血の発生率は,アスピリン群でプラセボ群よりも高かった(相対リスク 1.40,95%信頼区間 1.07~1.83,P=0.02).サブグループ解析により,65 歳以上の女性において,アスピリンは重大な心血管イベント,虚血性脳卒中,心筋梗塞のリスクを有意に低下させることが示された.

結 論

女性を対象としたこの大規模な一次予防試験において,アスピリンは脳卒中のリスクを低下させたが,心筋梗塞のリスク,心血管系の原因による死亡のリスクに対しては効果がなく,主要エンドポイントに関して有意な結果は得られなかった.

(本論文は,2005 年 3 月 7 日 www.nejm.org で発表された.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 1293 - 304. )