専門病院と一般病院における心血管血行再建術
Cardiac Revascularization in Specialty and General Hospitals
P. Cram, G.E. Rosenthal, and M.S. Vaughan-Sarrazin
狭い治療分野だけを扱う専門病院の出現は議論を呼んでいるが,その質についてはほとんど明らかにされていない.
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた 42,737 例のメディケア受給者と,冠動脈バイパス術(CABG)を受けた 26,274 例の受給者を対象に,後ろ向きコホート研究を実施した.患者は,2000~01 年に,同じ地域の心臓専門病院(PCI 15 施設,CABG 15 施設)または一般病院(PCI 82 施設,CABG 75 施設)で治療を受けた.管理データを用いて,患者特性,病院の手術件数,患者転帰を比較した.
専門病院で PCI または CABG を受けた患者は,一般病院で治療を受けた患者と比較して,併存疾患を有している割合が低く,急性心筋梗塞を発症した割合が低かった(P<0.001).一般病院の患者よりも専門病院の患者のほうが健康状態が良好であることは,死亡リスクの平均予測値が低いことでも示された(PCIで 2.1% 対 3.1%,CABGで 5.0% 対 5.8%;それぞれの比較で P<0.001).2000~01 年における,PCI と CABG の平均手術件数は,一般病院よりも専門病院で多かった(PCI 術で 375 件 対 799 件,P<0.001;CABG 術で 236 件 対 571 件,P<0.001).最初の入院期間または入院後 30 日以内における未補正の死亡率は,一般病院よりも専門病院で低かった(PCI で 3.2% 対 2.1%,CABG で 6.0% 対 4.7%;両方の比較で P<0.001).患者特性で補正後の多変量解析では,PCI 後の死亡のオッズ比は,専門病院と一般病院でほぼ同程度であったが(0.89,95%信頼区間 0.69~1.15,P=0.39),CABG 後の死亡のオッズ比は,専門病院のほうが一般病院よりも低かった(0.84,95%信頼区間 0.72~0.99,P=0.05).手術件数がほぼ等しい専門病院と一般病院とを比較した層化分析では,死亡率に有意差はなかった.
心臓専門病院において心血管血行再建術後の未補正死亡率が低いのは,患者の健康状態がより良好であることと,手術件数がより多いことに起因している.