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April 21, 2005 Vol. 352 No. 16

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ARLTS1 遺伝子多型に関連する家族性癌
Familial Cancer Associated with a Polymorphism in ARLTS1

G.A. Calin and Others

背景

さまざまな腫瘍で第 13 染色体のバンド 14 に部分欠失や全欠失がみられることから,RBI 遺伝子のテロメア側に腫瘍抑制因子の遺伝子座が存在することが示唆される.

方 法

さまざまなタイプの散発性腫瘍または特発性汎血球減少症の患者 216 例から採取した検体,家族性癌または多発性癌の患者 109 例から採取した末梢血検体,また,対照として健常人または癌以外の疾患を有する患者 475 例から採取した血液検体を調べた.完全長の ARLTS1 遺伝子と切断された変異遺伝子の両方を用いて,ARLTS1 遺伝子発現が欠失した細胞系の機能分析を行った.

結 果

染色体 13q14 領域にある,ADP リボシル化因子ファミリーに属する ARLTS1 遺伝子に,腫瘍抑制遺伝子の特性があることが明らかになった.散発性癌患者,家族性癌患者,および対照者の癌細胞と血液細胞から採取した 800 の DNA サンプルを分析したところ,ナンセンス変異である G446A(Trp149Stop)の頻度が,対照者と散発性癌患者では同程度であるが家族性癌患者ではほかの 2 群の患者よりも有意に高いことが明らかになった(P=0.02,オッズ比 5.7,95%信頼区間 1.3~24.8).解析した原発性癌の 25%では,プロモータのメチル化により ARLTS1 遺伝子がダウンレギュレーションされていた.免疫不全マウスにおいて,A549 肺癌細胞に野生型 ARLTS1 遺伝子を導入すると腫瘍形成が抑制され,アポトーシスが誘導されたが,ARLTS1 遺伝子断片を導入した場合,アポトーシスや腫瘍抑制に対する影響は小さかった.マイクロアレイ解析により,野生型クローンと Trp149Stop 導入クローンは,異なる発現プロファイルを示すことが明らかになった.

結 論

ARLTS1 遺伝子の変異により,家族性癌の易罹患性が高まる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 1667 - 76. )