January 6, 2005 Vol. 352 No. 1
C 反応性蛋白値とスタチン療法後の転帰
C-Reactive Protein Levels and Outcomes after Statin Therapy
P.M. Ridker and Others
スタチンは,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールと C 反応性蛋白(CRP)の値を低下させる.後者の特性が臨床転帰に影響を与えるかどうかは明らかになっていない.
急性冠症候群患者 3,745 例において,アトルバスタチン 80 mg/日またはプラバスタチン 40 mg/日による治療後,到達した LDL コレステロール値および CRP 値と,再発性心筋梗塞または冠疾患による死亡のリスクとの関連性を評価した.
スタチン療法の結果 LDL コレステロール値が 70 mg/dL(1.8 mmol/L)未満に低下した患者では,70 mg/dL 以上の患者と比較して,イベント発生率が低かった(100 人・年当り 2.7 件 対 4.0 件,P=0.008).一方で,スタチン療法後に CRP 値が 2 mg/L 未満であった患者と 2 mg/L 以上であった患者のあいだにもほぼ同じ差が認められ(100 人・年当り 2.8 件 対 3.9 件,P=0.006),この効果は,治療により到達したあらゆる LDL コレステロール値において認められた.治療後の LDL コレステロール値が 70 mg/dL 以上であった患者において,再発イベントの発生率は,CRP 値が 2 mg/L 以上の患者で 4.6 件/100 人・年,2 mg/L 未満の患者で 3.2 件/100 人・年であった.LDL コレステロール値が 70 mg/dL 未満の患者における発生率は,CRP 値が 2 mg/L 以上の患者で 3.1 件/100 人・年,2 mg/L 未満の患者で 2.4 件/100 人・年であった(P<0.001).アトルバスタチンは,プラバスタチンと比較して,治療によって到達する LDL コレステロール値および CRP 値がより低くなる傾向があったが,転帰の決定には,特定の治療法の選択よりも,これらの標的値が満たされることのほうが重要であった.スタチン療法後に LDL コレステロール値が 70 mg/dL 未満,CRP 値が 1 mg/L 未満であった患者は,再発イベントの発生率がもっとも低かった(1.9 件/100 人・年).
スタチン療法後に CRP 値が低い患者は,CRP 値がより高い患者と比較して,到達した LDL コレステロール値にかかわらず臨床転帰が良好であった.スタチンを用いて心血管リスクを低下させる戦略には,コレステロール値のモニタリングに加え,CRP 値のモニタリングを含めるべきである.