パキスタンにおける伝統的助産師の介入と周産期死亡率および妊産婦死亡率
An Intervention Involving Traditional Birth Attendants and Perinatal and Maternal Mortality in Pakistan
A.H. Jokhio, H.R. Winter, and K.K. Cheng
全世界で,年間の新生児死亡数はおよそ 400 万人,妊産婦死亡数はおよそ 50 万人にのぼる.発展途上国において効果的な母子保健サービスを整備するための指針となるような,臨床試験からのエビデンスは限られている.
パキスタン農村部の 7 つの地域(talukas)を対象に,クラスター無作為対照試験を実施した.介入群に無作為に割付けた 3 つの地域では,伝統的助産師に訓練を行い,使い捨ての分娩キットを支給した.また,Lady Health Worker が伝統的助産師と既存の医療サービスを連携させ,経過と転帰を記録し,産科医チームが出産前ケアを提供する出張診療所を設置した.対照とした 4 つの地域の女性には通常のケアを行った.主要転帰指標は,周産期死亡率および妊産婦死亡率とした.
7 つの地域の適格女性(推定人数)のうち,介入を行う 3 つの地域では 10,114 例(84.3%),対照とする 4 つの地域では 9,443 例(78.7%)を組み入れた.介入群では,女性 9,184 例(90.8%)が訓練を受けた伝統的助産師による出産前ケアを受け,1,634 例(16.2%)が出産前に産科医チームの診察を 1 回以上受診し,8,172 セットの安全分娩キットが使用された.対照とした地域と比較して,介入を行った地域では,クラスター補正後の周産期死亡のオッズ比は 0.70(95%信頼区間 0.59~0.82),妊産婦死亡のオッズ比は 0.74(95%信頼区間 0.45~1.23)であった.
伝統的助産師に訓練を行い,改善された医療システムへ組み入れることは,周産期死亡率の低下において達成可能かつ効果的な方法であった.このモデルは,発展途上国における周産期の医療と妊産婦の健康に,大幅な改善をもたらす可能性がある.